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細菌性腟症(細菌性膣炎)のおりものの特徴は?原因・症状・カンジダとの違い・治療を医師が解説

おりもののにおいや状態がいつもと違うけれど、「かゆみはないから大丈夫」と感じていませんか。細菌性腟症は自覚症状が少ないことも多く、約半数の女性が気づかないまま経過するといわれています。

この記事では、細菌性腟症にみられるおりものの特徴や原因、カンジダ腟炎との見分け方を医師が解説します。放置した場合のリスクや、婦人科での検査・治療、再発を防ぐ生活習慣まで詳しく紹介します。

読み終える頃には、ご自身の症状への理解が深まり、正しいセルフケアがわかるようになります。不安を解消し、健やかな毎日を取り戻すための次の一歩が見えてくるはずです。

✓ この記事でわかること
  • 細菌性腟症のおりものの特徴(におい・色・量)とセルフチェック
  • 細菌性腟症になる5つの原因と、性感染症ではない理由
  • カンジダ腟炎・トリコモナス腟炎との見分け方
  • 婦人科での検査・治療の流れと、再発を防ぐ生活習慣
目次

これって細菌性膣炎?おりものの異常セルフチェック

おりものの変化は、腟内の健康状態を知らせる大切なサインです。細菌性腟症(細菌性膣炎)は、特有のおりものの異常で気づかれることが多い病気です。カンジダ腟炎やトリコモナス腟炎といった他の病気と見分けるためにも、ご自身の症状を客観的に確認してみましょう。

におい:魚が生臭いような独特のにおい

細菌性腟症で最も特徴的なのは、魚が生臭いような独特のにおい(アミン臭)です。

健康な腟内は「デーデルライン桿菌」という善玉菌(乳酸桿菌)の働きで酸性に保たれ、雑菌が増えるのを防いでいます。しかし、ストレスや体調不良などで善玉菌が減り、ガードネレラ菌などの特定の細菌(嫌気性菌)が増殖すると、腟内環境がアルカリ性に傾きます。この時に産生される「アミン」という物質が、不快なにおいの原因です。

特に、もともとアルカリ性である精液に触れる性交渉の後や、月経血に混じるとにおいが強くなる傾向があります。

色・性状:灰色がかった白色で水っぽい・サラサラしている

細菌性腟症のおりものは、均一な灰色がかった白色で、水のようにサラサラしているのが特徴です。時に黄色っぽく見えることもあります。

一方で、ポロポロとした「カッテージチーズ状」や「酒かす状」の白いおりものは、カンジダ腟炎の典型的なサインです。

このように、おりものの見た目の違いは、原因となっている病気を見分けるための重要な手がかりといえます。

量:普段よりおりものが増えている

細菌性腟症になると、おりものの量が普段よりも増えることがあります。下着が湿る、おりものシートを頻繁に交換する必要がある、といった変化で気づく方もいます。

おりものの量は月経周期や体調によっても変動するため、量の変化だけで細菌性腟症と断定することはできません

あくまで、先述した「におい」や「色・性状」の変化とあわせて、総合的に判断することが大切です

その他の症状:かゆみや痛みはほとんどないのが特徴

細菌性腟症では、強いかゆみや痛みといった炎症症状はほとんどみられないのが大きな特徴です。

外陰部に強いかゆみやヒリヒリとした灼熱感がある場合は、カンジダ腟炎の可能性が高いと考えられます。細菌性腟症はかゆみを伴うことが比較的少ないため、この点が他の腟炎との見分け方の一つになります。

ただし、炎症が少しある場合には、軽いかゆみや排尿時の違和感を伴うこともあります。また、細菌性腟症の女性の多くは、自覚できる症状が何もないまま経過することも少なくありません。 症状がないからといって、腟内で問題が起きていないとは限らないのです。

かゆみがないからと様子を見ているうちに進行するケースが多いんです。におい・色・量のいずれかにいつもと違う変化があれば、一度受診してください。

なぜ?細菌性膣炎になる5つの原因

細菌性腟症は、腟内にいる細菌の種類や数のバランスが崩れることで起こります。健康な腟内は「ラクトバチルス菌(乳酸桿菌)」という善玉菌のおかげでpH4.5以下の酸性に保たれ、雑菌の侵入や増殖をブロックしています。

しかし、何らかの理由でこの善玉菌が減り、ガードネレラ菌をはじめとする嫌気性菌(酸素が少ない環境を好む菌)が増えすぎると、細菌性腟症を発症します

なぜ?細菌性膣炎になる5つの原因
なぜ?細菌性膣炎になる5つの原因

ストレスや疲労による免疫力の低下

ストレスや疲労の蓄積は、腟内の細菌バランスを崩す代表的な原因です。私たちの体は免疫機能によって細菌やウイルスから守られています。腟も例外ではなく、免疫力が正常に働いていれば、善玉菌が優位な状態を保ち、健康な環境を維持できます。

しかし、過労や睡眠不足、精神的なストレスが続くと、体全体の免疫力が低下します。すると、腟の自浄作用も弱まり、普段は問題にならない悪玉菌が増えやすくなるのです。免疫力の低下がきっかけとなり、細菌バランスが崩れて細菌性腟症を引き起こすことがあります

デリケートゾーンの洗いすぎ・ビデの使いすぎ

デリケートゾーンを清潔に保とうとするあまり、洗いすぎてしまうことが逆効果になる場合があります。腟の中まで石鹸で洗ったり、ビデを頻繁に使ったりすると、腟内を酸性に保ってくれている善玉菌(ラクトバチルス菌)まで洗い流してしまいます。

善玉菌がいなくなると、腟内のpHバランスがアルカリ性に傾き、悪玉菌が繁殖しやすい環境に変わってしまいます。 デリケートゾーンを洗う際は、洗浄力の強い石鹸は避け、外陰部をぬるま湯で優しく洗うだけで十分です

長時間のナプキン使用や通気性の悪い下着による蒸れ

ナプキンやおりものシートを長時間つけたままにしたり、ナイロンなど通気性の悪い下着を履いたりすると、デリケートゾーンが蒸れてしまいます

高温多湿な環境は、細菌性腟症の原因となる嫌気性菌(酸素の少ない環境を好む菌)にとって、絶好の繁殖場所となります

生理中やおりものが多い時期は、ナプキンやおりものシートを2〜3時間ごとを目安にこまめに交換しましょう。普段から、下着は通気性・吸湿性に優れた綿素材のものを選ぶことをおすすめします

風邪薬など抗生物質(抗菌薬)の服用

風邪や他の感染症の治療で服用した抗生物質(抗菌薬)が、細菌性腟症の引き金になることもあります。抗生物質は病気の原因菌を殺す強力な薬ですが、同時に体にとって有益な常在菌まで攻撃してしまうことがあります。

腟内の善玉菌であるラクトバチルス菌も例外ではなく、抗生物質の影響で数が減ってしまうと、腟内の細菌バランスが崩れます。その結果、これまで抑えられていた悪玉菌が増殖し、細菌性腟症を発症するのです。抗生物質を服用中や服用後に、おりものの変化を感じた場合は、早めに医師へご相談ください

性交渉(ただし性感染症ではない)

性交渉は細菌性腟症を発症するきっかけの一つですが、細菌性腟症はクラミジアや淋菌のように人から人へうつる性感染症(STI)ではありません。そのため、パートナーの治療は基本的に不要です。

性交渉がきっかけになる理由は、以下のとおりです。

  • 精液がアルカリ性のため、腟内が一時的に中性に傾き、悪玉菌が増えやすい環境になる
  • オーラルセックスなどで唾液に含まれる口腔内細菌が腟内に持ち込まれる

性感染症ではないものの、細菌性腟症にかかっていると、HIVやクラミジアといった他の性感染症にかかりやすくなるという報告もあります。 気になる症状があれば、性感染症の可能性も含めて婦人科で相談することが大切です。

放置は危険?自然治癒の可能性と病院へ行くべきサイン

細菌性腟症のおりものの異常に気づきながら、「かゆくないから大丈夫」と放置するのは危険です。この病気は基本的に自然治癒が難しく、将来の不妊や早産のリスクを高める可能性があります。自己判断で市販薬を使うことは避け、まずは婦人科で正確な診断を受けることが大切です。

⚠️ 自己判断で市販薬を使わず、まず受診を

おりものの異常を市販薬で対処するのは避けてください。市販されているのは主にカンジダ腟炎向けの薬で、原因が異なる細菌性腟症には効果がありません。誤った薬で症状が悪化したり、正しい治療が遅れたりすることがあります。まずは婦人科で検査を受け、確定診断を受けましょう。

基本的に自然治癒は期待できない

細菌性腟症は、腟内の細菌バランスが大きく崩れてしまった状態のため、一度発症すると自然に治ることはほとんど期待できません

それどころか、細菌性腟症は治療をしても再発しやすいという特徴があります。適切な抗菌薬で治療した後でも、1年以内に半数以上の女性が再発するという報告もあるほどです。

なぜこれほど再発しやすいのかというと、原因菌が「バイオフィルム」という、ぬるぬるとした膜を腟の壁に作ってしまうためです。このバイオフィルムがバリアとなり、薬が効きにくくなることが一因と考えられています。

一時的に症状が和らいだとしても、根本的な原因が残っていることが多いため、放置せずに医療機関で適切な治療を受けましょう

おりものの異常を感じたら早めに婦人科・産婦人科へ

おりものの「におい」「色」「量」にいつもと違う変化を感じたら、できるだけ早く婦人科・産婦人科を受診してください。細菌性腟症は、産婦人科医がきちんと診療すべき正式な病気として位置づけられています。

特に、以下のようなサインは受診を考える大切な目安です。

  • 魚が生臭いような独特のにおいがする
  • おりものが灰色がかった白色で、水のようにサラサラしている
  • 普段よりもおりものの量が増えた

細菌性腟症の大きな特徴は、強いかゆみや痛みがほとんどないことです。そのため、症状を自覚しない女性も半数近くいるといわれています。 「かゆみがないから大丈夫」と安易に自己判断せず、おりものの見た目やにおいの変化に気づいたら、一度専門医に相談することをおすすめします。

放置すると不妊や早産のリスクも

細菌性腟症を治療せずに放置すると、腟内で増えた細菌が子宮頸管をさかのぼり、子宮や卵管、骨盤内へと炎症を広げてしまうことがあります。その結果、将来の健康に影響を及ぼす深刻な事態につながるリスクが高まります。

細菌性腟症を放置した場合の主なリスク

  • 骨盤内炎症性疾患(PID)
    • 子宮や卵管の炎症で、激しい下腹部痛や発熱を引き起こします。
    • 卵管が傷つくことで、不妊症や子宮外妊娠の原因になることがあります。
  • 妊娠への影響
    • 妊娠中に細菌性腟症を合併すると、早産のリスクが約2倍、後期流産(妊娠12週以降の流産)のリスクが約6倍に高まるという報告があります。
  • その他
    • 腟の防御機能が弱まるため、HIVやクラミジアといった他の性感染症(STI)にかかりやすくなる可能性があります。

ご自身と、将来の赤ちゃんの健康を守るためにも、細菌性腟症のサインを見逃さず、早期に治療を始めることが重要です

市販薬での自己判断はNG!まずは検査で確定診断を

「おりものの異常だから」と、薬局で買える市販薬で対処しようと考えるのは絶対にやめてください。市販されているのは主にカンジダ腟炎の再発治療薬であり、原因が全く異なる細菌性腟症には効果がありません

おりものの異常を引き起こす代表的な病気と、その特徴は下表のとおりです。

病気の種類 主な原因 おりものの特徴
細菌性腟症 嫌気性菌(悪玉菌)の増殖 ・薄い灰白色で水っぽい
・魚が生臭いようなにおい
カンジダ腟炎 カンジダという真菌(カビ)の増殖 ・白くポロポロしたカッテージチーズ状
・強いかゆみを伴うことが多い
トリコモナス腟炎 トリコモナス原虫という寄生虫 ・黄緑色で泡立つことがある
・強い悪臭を伴う

このように、原因によって治療薬が全く異なります 似た症状もあるため自己判断は難しく、誤った薬を使えば症状が悪化したり、正しい治療が遅れたりする原因になります。

婦人科では、腟内のpH測定や顕微鏡での観察といった専門的な検査で原因を正確に特定し、あなたに合った適切な治療薬を処方します。 まずは検査で確定診断を受けることが、快方への第一歩です

婦人科での検査・治療の流れと費用

婦人科では、まず簡単な検査でおりものの異常の原因を特定し、その結果に基づいて適切な治療を行います。費用は保険診療の対象となり、検査や処方される薬の種類によって変動しますが、あらかじめ流れを知っておくことで、落ち着いて治療に臨めるでしょう。

検査方法:綿棒でおりものを採取して菌の状態を確認

診断は、問診で症状を詳しく伺った後、内診台で腟内の状態を観察し、綿棒でおりものを少量採取して行います。検査に痛みはほとんどなく、短時間で終わります

採取したおりものは、主に以下の項目で調べることで、腟内の細菌バランスの状態を評価します。

  • pH検査 健康な腟内は善玉菌の働きで酸性(pH4.5以下)に保たれていますが、細菌性腟症ではアルカリ性に傾き、pHが4.5より高くなります。
  • アミン臭検査(Whiffテスト) 採取したおりものに特殊な液体(水酸化カリウム液)を垂らし、魚が生臭いような特有のにおい(アミン臭)が強まるかを確認する検査です。
  • 顕微鏡での観察 おりものを顕微鏡で観察し、細菌がびっしりと付着した「クルーセル(clue cell)」という特徴的な細胞の有無を確認します。

診断は、世界的な診断基準である「アムセル(Amsel)基準」に沿って行われるのが一般的です。これは、上記の所見に「均一で薄い灰白色のおりもの」という見た目の特徴を加え、4つの基準のうち3つ以上を満たす場合に細菌性腟症と診断する方法です。

治療法:抗菌薬の飲み薬や膣錠が中心

細菌性腟症の治療では、腟内で増えすぎた原因菌を抑え、正常な細菌バランスを取り戻すために抗菌薬を使用します

米国疾病予防管理センター(CDC)のガイドラインでも推奨されている、主に以下の薬が処方されます。

  • メトロニダゾール:飲み薬、または腟内に直接入れる錠剤(腟錠)
  • クリンダマイシン:腟内に入れるクリーム、または飲み薬

飲み薬と腟に入れる薬のどちらを選ぶかは、症状の程度やライフスタイル、妊娠の有無などを総合的に考慮して医師が判断します

なお、症状がない細菌性腟症の場合は、基本的に治療の必要はありません。ただし、妊娠している方や、これから婦人科の手術を控えている方は、合併症を予防するために治療が推奨されています

治療期間の目安:約7〜10日間

治療期間は薬の種類によって異なりますが、7日間〜10日間が目安です。例えば、メトロニダゾールの飲み薬では、7日間の服用が標準的な治療法とされています。

治療で何よりも大切なのは、途中で症状が和らいでも、自己判断で薬をやめないことです。医師から指示された日数の薬を必ず飲み切る・使い切ることが、完治と再発防止の鍵を握ります。

細菌性腟症はもともと再発しやすい病気で、適切な治療を受けても1年以内に半数以上の女性が再発するとの報告もあります。 中途半端に治療をやめると、生き残った菌が再び増え、症状をぶり返す原因になるため、最初の治療をきちんと完了させることが非常に重要です

治療中の生活での注意点(性交渉・入浴など)

治療の効果を高め、スムーズな回復を促すために、治療期間中は以下の点に注意して過ごしましょう。

  • アルコール摂取 メトロニダゾールの飲み薬を服用している間は、アルコールを絶対に飲まないでください。薬の作用でアルコールの分解が妨げられ、激しい腹痛や吐き気、頭痛などを引き起こすことがあります。
  • 性交渉 腟の粘膜がデリケートな状態になっているため、治療が完了するまでは性交渉を控えるのが望ましいです。
  • デリケートゾーンのケア ビデで腟の中まで洗い流すのはやめましょう。腟を守る善玉菌まで洗い流してしまい、かえって回復を遅らせる原因になります。入浴の際は、石鹸の使用は避け、外陰部をぬるま湯で優しく洗い流す程度にとどめてください。
  • パートナーの治療について 細菌性腟症は性感染症(STI)ではないため、症状のないパートナーの検査や治療は原則として必要ありません。 もしパートナーのことでご心配な点があれば、診察時に医師へご相談ください。

もう繰り返さない!細菌性膣炎の再発を防ぐための新習慣

細菌性腟症の再発を防ぐには、治療で原因菌を抑えるだけでなく、腟内環境そのものを安定させる日々の習慣が鍵を握ります。

標準的な抗菌薬で治療しても、1年以内に半数以上の女性が再発するという報告もあるほど、この病気は繰り返しやすい性質を持っています。 その背景には、原因菌が腟の壁に「バイオフィルム」という粘着性の膜を作り、薬の効き目を妨げることが一因と考えられています。

だからこそ、治療だけに頼らず、日々のセルフケアを見直して、再発しにくい腟内環境を育てていくことが根本的な解決につながります

もう繰り返さない!細菌性膣炎の再発を防ぐための新習慣
もう繰り返さない!細菌性膣炎の再発を防ぐための新習慣

正しいデリケートゾーンの洗い方

デリケートゾーンのケアで最も大切なのは「洗いすぎない」ことです。清潔にしたい一心で洗いすぎると、かえって腟の防御機能を弱めてしまう可能性があります。

腟の中まで石けんでゴシゴシこすったり、ビデを頻繁に使ったりすると、腟内を健康な酸性に保っている善玉菌(ラクトバチルス菌)まで一緒に洗い流してしまいます。その結果、腟内がアルカリ性に傾き、悪玉菌が繁殖しやすい環境に変わってしまうのです。

腟本来が持つ自浄作用を信じて、以下のポイントを守り、優しくケアすることを心がけましょう

正しいデリケートゾーンのケア

  • 洗浄料
    • 刺激の少ない弱酸性のデリケートゾーン専用ソープ、またはぬるま湯のみで十分です。
    • 香りの強いボディソープや殺菌作用のある石鹸は、必要な善玉菌まで減らしてしまうため避けましょう。
  • 洗い方
    • 洗浄料はよく泡立て、前から後ろに向かって指の腹で優しくなでるように洗います。
    • ひだの間などの汚れが溜まりやすい部分も丁寧に洗いますが、腟の中まで洗う必要はありません。
  • 頻度
    • 洗うのは1日1回、入浴時で十分です。おりものが気になる時でも、洗いすぎは逆効果になることがあります。

膣内フローラ(善玉菌)を整える生活習慣

腟内の善玉菌(腟内フローラ)を安定させるには、デリケートゾーンの局所的なケアだけでなく、体全体の健康を支える生活習慣が欠かせません

ストレスや疲労、睡眠不足は体の免疫力を直接的に低下させます。免疫力が落ちると、腟の自浄作用も弱まり、善玉菌が減って悪玉菌が増えやすいアンバランスな状態になってしまいます。

腟内環境は、あなたの体調を映す鏡です。以下の習慣を参考に、再発しにくい体質作りを目指しましょう

  • 十分な休養と睡眠 体の抵抗力を維持するため、疲れや寝不足を溜め込まないようにしましょう。
  • バランスの取れた食事 特定の食品に偏るのではなく、さまざまな食材から栄養をバランス良く摂ることが大切です。
  • ストレス管理 自分に合ったリラックス方法を見つけ、ストレスを上手に発散する時間を作りましょう。
  • 服装への配慮 下着は通気性・吸湿性に優れた綿素材がおすすめです。スキニーパンツなど体を締め付ける服装は、デリケートゾーンの蒸れにつながるため、長時間着用するのは避けましょう。
  • 生理用品のこまめな交換 ナプキンやおりものシートは2〜3時間ごとを目安に交換し、雑菌が繁殖しにくい清潔な状態を保ちます。

妊娠中・妊活中に特に気をつけたいこと

妊娠中や妊活中の方が細菌性腟症になった場合、放置は禁物です。おりものの異常は、ご自身と将来の赤ちゃんの健康に関わる大切なサインかもしれません。

ある研究では、妊娠中に細菌性腟症を合併すると、早産のリスクが約2倍、特に妊娠12週以降の後期流産のリスクは約6倍にも高まることが報告されています。 これは、腟内で増えた細菌が子宮へと上行し、炎症を引き起こすためと考えられています。

また、この炎症が卵管にまで及ぶと「骨盤内炎症性疾患(PID)」を発症し、卵管の癒着や閉塞を招いて不妊症の原因となる可能性もあります。

わずかな変化でも「いつものこと」と見過ごさず、おりもののにおいや性状に異常を感じたら、すぐにかかりつけの産婦人科医に相談してください

パートナーへの伝え方と理解

細菌性腟症の再発予防には、パートナーの正しい理解と協力が大きな支えとなります。

まず大切なのは、「これは性感染症(STI)ではない」という事実を伝えることです。クラミジアや淋菌のように人から人にうつる病気ではないため、パートナーが治療を受ける必要は基本的にありません。

「体調によって腟内の菌のバランスが崩れてしまうことがある。誰にでも起こりうることなんだ」と伝えることで、お互いに安心して話せるはずです。その上で、再発予防のために協力してほしいことを具体的に伝えてみましょう。

パートナーに協力してもらえること

  • 性交渉前の手洗い:手指についた雑菌が腟内に入るのを防ぎます。
  • オーラルセックス前の口腔ケア:唾液に含まれる細菌が腟内フローラを乱す一因になることがあるため、歯磨きなどで口の中を清潔に保ってもらいます。

「今、腟の環境がすごくデリケートな時期だから、清潔を保つために協力してほしい」といった形でお願いすると、相手も受け入れやすいでしょう。一人で悩まず、信頼できるパートナーと一緒に対策に取り組むことが、心身の負担を軽くする第一歩です

まとめ

細菌性腟症のおりものは、魚が生臭いようなにおいを伴う、灰色で水っぽい性状が大きな特徴です。強いかゆみを伴うことが多いカンジダ腟炎とは、この点で見分ける一つの目安になります。

ストレスや疲労、デリケートゾーンの洗いすぎなどで腟内の善玉菌が減ることが主な原因です。自然に治ることは少なく、放置すると将来の不妊や早産につながる可能性もあるため、自己判断は避けましょう。治療には抗菌薬が用いられますが、再発しやすいため生活習慣の改善も大切になります。

おりもののにおいや色、量にいつもと違う変化を感じたら、市販薬に頼らず、まずは婦人科を受診して正確な診断を受けましょう。デリケートゾーンからの大切なサインを見逃さず、ご自身の体をいたわってあげてください。

参考文献

  1. Bacterial Vaginosis — STI Treatment Guidelines 2021 — CDC
  2. Bacterial vaginosis: review of treatment and prevention — PMC(査読付き総説)
  3. 妊娠中BVの有害アウトカム 系統的レビュー — PMC(査読付き)
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この記事を書いた人

福岡大学医学部卒業。日本救急医学会救急科専門医、日本集中治療医学会集中治療専門医、臨床研修指導医。救急・集中治療領域での豊富な診療経験を持ち、現在はクリニック院長として外来診療にも従事。HIV・性感染症をはじめとした医療情報分野の監修も行っている。

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