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性病チェックの方法は?症状セルフチェックと検査の受け方・費用を医師が解説

性器の違和感やおりものの異常など、気になる症状はありませんか。性感染症は症状が非常に軽い、あるいは全く出ないことも珍しくありません。世界保健機関(WHO)も、日々発生する性感染症の大半が無症状だと指摘しており、自己判断は危険といえます。

この記事では、ご自身でできる症状のセルフチェックリストから、主な性病の種類、検査を受けられる場所と費用の目安までを詳しく解説します。病院・保健所・郵送検査キットそれぞれの特徴も紹介するため、ご自身の状況に合った方法がわかります。

検査を受けるべきか、どこへ行けばよいかという疑問が解消され、あなたと大切なパートナーを守るための具体的な行動が見えてきます。

✓ この記事でわかること
  • 気になる症状からできるセルフチェックの目安
  • 主な性病の種類・症状・潜伏期間
  • 検査を受けられる3つの場所(病院・保健所・郵送)と費用
  • 正しい検査タイミングと、陽性だった場合の対応
⚠️ 知っておきたい大切な注意点

性感染症の多くは症状が出ないまま進行します。症状がないことは「感染していない」ことの証明にはなりません。不安な行為に心当たりがあれば、症状の有無にかかわらず検査を検討してください。

目次

その症状、性病かも?気になる症状セルフチェック

性器やのどに現れるいつもと違う症状は、性感染症(STD/STI)のサインである可能性があります。

しかし、性感染症の最も厄介な点は、感染しても症状がほとんど出ない、あるいは非常に軽いケースが多いことです。世界保健機関(WHO)も、世界で1日に100万件以上発生する治癒可能な性感染症の大半が無症状であると指摘しており、これが気づかないうちに感染を広げてしまう大きな原因となっています

症状の有無だけで「大丈夫」と判断するのは危険です。少しでも気になることがあれば、ご自身の体と向き合ってみましょう。

性器のかゆみ・痛み・できもの

性器やその周辺に現れるかゆみ、痛み、できものは、性感染症でよくみられる症状です。原因となる病気によって症状の現れ方が異なるため、ご自身の状態と照らし合わせてみてください。

主な症状 考えられる病気と特徴
水ぶくれ・強い痛み 性器ヘルペス
・初感染の場合、感染から2~21日後に強い痛みを伴う多数の水ぶくれができ、治癒に2~4週間かかることもあります
・再発の場合は症状が軽く、1週間ほどで治まることが多いです。
硬いしこり・痛みのない潰瘍 梅毒(第1期)
・感染から約3週間で、感染した場所に痛みのない硬いしこりができます。
・このしこりは治療しなくても数週間で消えますが、病気が治ったわけではなく、体内で病原体が静かに増え続けています
イボ状のできもの 尖圭コンジローマ
・ニワトリのトサカやカリフラワーのような形のイボができます。
・潜伏期間が3週~8カ月と長く、自覚症状はほとんどありません
かゆみ クラミジア、カンジダ症、トリコモナス症など
・さまざまな感染症でみられる症状です。原因によって治療法が異なります。

これらの症状は、一つだけでなく複数が同時に現れる場合もあります。

おりものの異常(量・色・臭い)

おりものの量・色・臭いの変化は、女性がご自身で気づける性感染症の重要なサインです。

ただし、日本で最も多い性感染症であるクラミジアのように、女性は感染しても自覚症状に乏しいことが少なくありません。実際、症状のない妊婦さんを調べたところ、3~5%の方にクラミジアの保有がみられたというデータもあり、自覚がないまま感染している方がいかに多いかがわかります

以下のような変化に気づいたら注意が必要です。

  • 量が増える、水っぽくなる:クラミジア感染症
  • 黄色〜黄緑色で膿のようになる:淋菌感染症
  • 泡状で強い悪臭がする:トリコモナス腟炎
  • 白くカッテージチーズや酒粕のようになる:腟カンジダ症

特にクラミジアや淋菌は、症状が軽いため放置されがちですが、子宮頸管炎から卵管炎へと炎症が広がり、不妊症や子宮外妊娠の原因となるため、早期発見・早期治療が非常に重要です

排尿時の痛みや違和感

排尿時の痛みや、むずがゆさといった尿道の違和感は、特に男性が性感染症に気づくきっかけとなる症状です。尿道にクラミジアや淋菌などが感染することで起こります。

原因となる菌によって、症状の出方に下記のような違いがみられます。

原因菌 症状の特徴
クラミジア ・比較的軽い排尿痛、むずがゆいような不快感。
・尿道から透明~乳白色のサラサラした分泌物が出ることがある。
・症状が軽いため気づきにくい
淋菌 ・焼けるような強い排尿痛。
・尿道から黄色くドロッとした膿が出ることが典型的。
・ただし近年は、症状が軽かったり無症状だったりするケースも増えています

女性の場合も、クラミジアや淋菌が尿道や子宮頸管に感染することで、膀胱炎と似た排尿痛や頻尿が起こることがあります。

のどの痛みや違和感

オーラルセックスによって、のど(咽頭)にクラミジアや淋菌が感染することがあります。

症状は風邪によるのどの痛みと非常によく似ているため、性感染症だと気づかないまま放置されがちです。特に咽頭感染は無症状のことが多く、自覚がないままパートナーへ感染させてしまう「感染源」になりやすいのが大きな問題です

また、まれなケースですが、HIV感染症の初期症状として、感染から2〜4週間後に発熱やリンパ節の腫れ、皮疹などとともに、のどの痛みが出ることがあります

市販の風邪薬を飲んでも改善しないのどの痛みがあり、オーラルセックスを含む性的な接触に心当たりがある場合は、咽頭の性感染症を疑い検査を受けることを検討してください。

主な性病(性感染症)の種類・症状・潜伏期間

性感染症(STI)は原因となる病原体ごとに多くの種類があり、症状や潜伏期間はさまざまです。

しかし、すべての性感染症に共通する最大の問題点は、感染しても症状が出ない「無症状」のケースが非常に多いことです。世界保健機関(WHO)は、世界で1日に100万件以上発生する性感染症の大半が無症状であると指摘しており、これが気づかないうちに感染を広げてしまう大きな原因となっています

症状がないからと安心せず、ご自身の体と向き合うためにも、代表的な性感染症の特徴を知っておきましょう。

主な性病(性感染症)の種類・症状・潜伏期間
主な性病(性感染症)の種類・症状・潜伏期間

クラミジア感染症

クラミジア感染症は、日本で最も報告数が多い性感染症です

最大の特徴は、感染しても症状が極めて軽いか、全く出ない点にあります。感染から1〜3週間の潜伏期間を経て症状が出ることがありますが、自覚できないケースが後を絶ちません。

  • 男性の症状:軽い排尿痛、尿道のかゆみ・不快感、透明でサラサラした分泌物
  • 女性の症状:ほとんどが無症状。おりものの増加、不正出血、下腹部痛などがみられることもあります。

特に女性は自覚症状に乏しいため、気づかないうちに炎症が卵管や骨盤内へ広がり、不妊症や子宮外妊娠の引き金になることがあります。実際、症状のない妊婦さんを調べたところ、3〜5%の方にクラミジアの保有がみられたというデータもあり、いかに無症状の感染者が多いかがわかります

淋菌感染症(淋病)

淋菌感染症は、クラミジアと並んで感染者が多い性感染症で、2〜9日ほどの潜伏期間があります

一般的に男性は強い症状が出やすいとされますが、近年は症状が軽かったり、無症状だったりするケースも増えているため注意が必要です。

  • 男性の症状:焼けるような強い排尿痛、黄色くドロッとした膿が出る
  • 女性の症状:症状が軽いか無症状のことが多く、おりものが少し増える程度で気づかないこともあります。

特に、オーラルセックスによって感染する「のど(咽頭)」や、直腸への感染はほとんどが無症状です。そのため、本人が気づかないままパートナーに感染を広げてしまう「感染源」になりやすいのが大きな問題点といえます

性器ヘルペス

性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)によって、性器やその周りに痛みを伴う水ぶくれやただれができる病気です。

このウイルスの厄介な点は、一度感染すると体内の神経節に潜伏し続けるため、体調が落ちたときなどに再発を繰り返すことです。

  • 潜伏期間:感染の機会から2〜21日
  • 初感染の症状:発熱とともに、性器に強い痛みを伴う多数の水ぶくれや潰瘍ができます。症状が重い場合、治るまでに2〜4週間かかることもあります
  • 再発時の症状:初感染時よりも症状は軽く、1週間ほどで治まることが多いです

水ぶくれなどの症状が出ていない時でも、皮膚や粘膜からウイルスが排出されている可能性があり、パートナーに感染させてしまうことがあります。

梅毒

梅毒は、近年若い世代を中心に再び感染者が急増している性感染症です。

症状が出たり消えたりしながら、数週間から数年という長い時間をかけて静かに進行していく特徴があります。

  • 第1期(感染後約3週間) 感染した場所(性器、肛門、口など)に、痛みのない硬いしこりや、えぐれたような潰瘍ができます。この症状は治療しなくても数週間で自然に消えてしまいますが、病気が治ったわけではありません
  • 第2期(感染後1〜3カ月) 手のひらや足の裏を含め、全身に「バラ疹」と呼ばれるピンク色の発疹が広がります。この発疹もまた、数週間から数カ月で自然に消えることがあります

症状が消えても、病原体は体内で静かに増え続けています。特に、第1期と第2期の症状が出ている時期は感染力が非常に高いため、症状に気づいたら放置せず、早期に検査と治療を受けることが不可欠です。

症状が自然に消えても、体の中では菌が増え続けています。放置すると数年後に脳や心臓に影響が出ることも。必ず検査を受けてください。

HIV感染症(エイズ)

HIV感染症は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が免疫細胞を破壊し、体の抵抗力を徐々に低下させていく病気です。

かつては「死の病」と恐れられていましたが、治療法が進歩した現在では、早期に発見し治療を継続することで、エイズの発症を防ぎ、健康な人とほとんど変わらない生活を送ることが期待できます。

  • 初期症状 感染から2〜4週間後に、発熱、のどの痛み、だるさ、リンパ節の腫れ、発疹といったインフルエンザに似た症状が出ることがあります。これらの症状は自然に治まってしまいます
  • ウインドウ期 感染していても、体内で抗体ができるまで検査で陽性反応が出ない「ウインドウ期」という期間があります。そのため、不安な行為からすぐに検査を受けても、正しい結果が出ない可能性があります

初期症状が消えた後は、数年から10年以上も無症状の期間が続きます。この間に病気は進行していくため、症状がない段階で検査を受けることが何よりも重要です。全国の保健所では、匿名・無料でHIV検査を受けられます

性病の検査はどこで受ける?3つの選択肢

性病の検査を受けたいと思ったとき、どこへ行けばよいか迷うかもしれません。検査場所は、主に「病院・クリニック」「保健所」「郵送検査キット」の3つがあり、症状の有無やプライバシーへの配慮、費用などを基準にご自身に合った方法を選ぶことが大切です。

病院・クリニック(婦人科・泌尿器科など)

何らかの自覚症状がある場合に、まず検討すべきなのが病院やクリニックです。専門医による診察から検査、そして陽性だった場合の治療までを一つの場所で完結できる、最も確実な方法といえます。

特に、かゆみや痛み、おりものの異常といった症状がある場合は、保険診療で検査・治療を受けられる可能性があります。

病院・クリニックで検査を受けるメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリット デメリット
・医師による問診や視診で総合的に診断してもらえる
・尖圭コンジローマのように、視診で診断がつく病気もある
・症状があれば保険が適用される場合がある
・陽性だった場合に、そのままスムーズに治療を開始できる
・保険証が必要(自費診療の場合は不要なことも)
・待ち時間が発生することがある
・院内で知人などに会う可能性がある

特に女性はクラミジアに感染しても自覚症状に乏しいことが多く、気づかないうちに不妊症の原因につながることもあります。どんな些細な変化でも、気になることがあればためらわずに専門医へ相談してください。

全国の保健所

「費用をかけずに、匿名で検査を受けたい」という場合に有力な選択肢となるのが、全国の保健所です。プライバシーが守られるため、心理的なハードルが低いのが大きな特徴です。

保健所での検査の利点と注意点を下記に整理します。

メリット デメリット
・無料、かつ匿名で受けられる
・プライバシーが守られる
・専門の相談員に不安なことを相談できる
・検査を受けられる日時が限られている(要予約)
・検査項目が限られる(主にHIV、梅毒など)
・結果判明に時間がかかることもある(即日検査を除く)

ただし、正確な結果を得るためには、不安な行為から一定期間あけて受ける必要があります。例えば、HIVは感染機会から3カ月以上、梅毒は6週間以上経過してからの検査が推奨されています

感染から4週間以上、確実な結果を求めるなら3か月ほど空けてから血液検査を受けると、より正確に判定できます。

保健所のHIV検査は、住んでいる地域に関わらず全国どこでも匿名・無料で受けられます。お近くの検査施設は、厚生労働省の「HIV検査相談マップ」で検索できますが、検査項目や実施日は施設ごとに異なるため、必ず事前に電話などで確認しましょう

自宅でできる郵送検査キット

「誰にも会わずに、自分のペースで検査したい」という方には、自宅で完結する郵送検査キットが適しています。特に症状はないものの、感染の不安がある場合のスクリーニング(ふるい分け検査)として役立ちます。

郵送検査キットの長所と短所は、次のとおりです。

メリット デメリット
・完全に匿名で検査できる
・自宅で好きな時間に検体を採取できる
・複数の項目をまとめて調べられるセットがある
・費用は全額自己負担となる
・検体(血液や尿など)を自分で正しく採取する必要がある
・陽性の場合、改めて医療機関の受診が必要

世界保健機関(WHO)も、性感染症の多くが無症状のまま広がっていると指摘しており、症状がない段階でのチェックは感染拡大を防ぐ上で重要です

郵送検査キットは、感染の可能性に気づくための有効な入り口です。もし陽性の結果が出た場合は、決して放置せず、検査結果を持って速やかに医療機関を受診してください。

性病検査の費用はいくら?保険適用と自費診療

性病検査の費用は、症状の有無によって健康保険が使えるかどうかが決まるため、金額が大きく変わります。

かゆみや痛み、おりものの異常といった症状がある場合は「病気の治療」とみなされ、保険が適用される可能性があります。一方で、特に症状はないものの感染が不安な場合や、結婚前のチェック(ブライダルチェック)などは「予防」にあたるため、自費診療となります。

世界保健機関(WHO)も、性感染症の大半が無症状のまま広がっていると指摘しており、症状がないからといって安心はできません。ご自身の状況に合わせて、適切な検査を選びましょう。

保険が使える場合と使えない場合の違い

保険診療と自費診療のどちらになるかは、検査の目的によって下表のように分けられます。

保険適用 自費診療(保険適用外)
対象となる方 ・医師が診察し、治療のために検査が必要と判断した場合
(例:排尿時痛、おりもの異常、性器のできものなど)
・症状はないが、感染の不安がある
・パートナーが感染した
・ブライダルチェックを受けたい
費用負担 医療費の一部(主に3割)を負担 全額自己負担

性感染症は、自覚症状が出にくいという非常に厄介な性質を持っています。

例えば、日本で最も多い性感染症であるクラミジアは、特に女性の場合、感染しても症状が乏しいことが少なくありません。実際、症状のない妊婦さんを調べたところ、3~5%の方にクラミジアの保有がみられたというデータもあり、本人が気づかないまま感染しているケースがいかに多いかがわかります

そのため、症状がないからといって安心せず、少しでも不安な行為があった場合は自費診療での検査も検討することが、ご自身と大切なパートナーを守る上で重要です。

症状がある場合の費用目安

症状があり、医師が治療に必要と判断した検査は保険適用(3割負担)となり、費用は診察料と合わせて3,000円〜8,000円程度が目安です。

費用は、初診か再診か、またどの病気を疑って何種類の検査を行うかによって変わります。

例えば、排尿時の違和感で受診し、尿からクラミジアと淋菌を調べる遺伝子検査(核酸増幅法)を受けた場合、初診料を含めて5,000円前後になることが一般的です。もし、血液検査で梅毒やHIVなどを追加で調べる場合は、さらに費用が加算されます。

検査の結果、陽性で治療が必要になった場合は、別途お薬代がかかることを覚えておきましょう。正確な費用は医療機関や検査内容によって異なるため、受診の際に確認することをおすすめします。

症状がない場合のセット検査料金

特に症状はないものの感染の不安がある場合は自費診療となり、複数の項目を一度に調べるセット検査が中心になります。

性感染症は複数の種類に同時に感染していることも珍しくないため、気になる項目をまとめてチェックできるセット検査は非常に合理的です。料金は検査項目数によって異なり、10,000円〜30,000円程度が相場といえます。

自費診療のクリニックでは、プライバシーに配慮し、匿名で検査を受けられるところもあります。

【自費診療のセット検査料金の例】

  • 基本的なセット(性器のクラミジア・淋菌など): 10,000円~15,000円程度
  • のどを含めたセット(咽頭クラミジア・咽頭淋菌): 15,000円~20,000円程度
  • 血液で調べるセット(HIV・梅毒・B型肝炎など): 15,000円~25,000円程度

費用を抑えたい場合は、保健所という選択肢もあります。全国の保健所では、HIVや梅毒などの検査を匿名・無料で受けられますが、検査項目や日時が限られているため、事前の確認が必須です

もし陽性だったら?治療の流れとパートナーへの伝え方

性病検査で「陽性」と告げられたら、誰もがショックを受け、頭が真っ白になるかもしれません。

しかし、まず知ってほしいのは、多くの性感染症は早期に治療すればきちんと改善が期待できるということです。大切なのは、パニックにならず、ご自身とパートナーの健康を守るために、次に行うべきことを冷静に理解し、行動することです。

もし陽性だったら?治療の流れとパートナーへの伝え方
もし陽性だったら?治療の流れとパートナーへの伝え方

主な性病の治療法と治療期間

性感染症の治療は、原因となる病原体(細菌かウイルスか)によって方法と期間が異なります。自己判断で治療を中断すると、再発したり薬が効かない「耐性菌」を生んだりする原因になります。医師の指示通り、確実に治療を完了させることが何より重要です。

主な性感染症の治療法と期間の目安を、下表にまとめました。

疾患名 主な治療法 治療期間の目安
クラミジア感染症 ・抗菌薬の内服 ・1日〜1週間程度
淋菌感染症 ・抗菌薬の点滴や筋肉注射 ・1回〜数日間
梅毒 ・抗菌薬の内服や筋肉注射 ・2週間〜8週間程度(病期による)
性器ヘルペス ・抗ウイルス薬の内服 ・5日〜10日程度(初発の場合)
尖圭コンジローマ ・塗り薬
・外科的切除(液体窒素、レーザーなど)
・数週間〜数カ月

クラミジアは、日本で最も報告数が多い性感染症ですが、適切な抗菌薬で改善が期待できます。一方、淋菌は飲み薬が効きにくい耐性菌が増えているため、注射による治療が基本です

また、性器ヘルペスはウイルスが原因のため、薬で症状は抑えられますが、ウイルスが体内の神経に潜み続け、疲れやストレスをきっかけに再発を繰り返すことがあります。梅毒は第1期、第2期といった早期の段階で発見できれば短期間の治療で済みますが、進行度によって治療期間が長くなります

パートナーにも検査を受けてもらう必要性

ご自身の治療と同時に、パートナーにも必ず検査を受けてもらう必要があります。これは、二人で感染を繰り返す「ピンポン感染」を防ぎ、そして何よりパートナー自身の健康を守るために不可欠です。

なぜなら、自分が治療で治っても、感染したままのパートナーと性行為をすれば、再びうつされてしまうからです。この悪循環を断ち切らない限り、完治は望めません。

さらに深刻なのは、性感染症の多くが症状を出さない「サイレント感染」である点です。世界保健機関(WHO)も、世界で日々発生する性感染症の大半が無症状であると警鐘を鳴らしています

  • クラミジア: 女性は感染しても自覚症状に乏しく、気づかないうちに不妊症の原因になることがあります
  • 淋菌: のど(咽頭)や直腸への感染はほとんどが無症状で、本人が気づかないまま感染源になってしまうケースが後を絶ちません

パートナーに症状がないからといって、「自分だけが原因だ」と思い込むのは早計です。大切な人の体を守り、二人の未来を守るためにも、必ず一緒に検査と治療に取り組んでください。

パートナーへの上手な伝え方

陽性の事実をパートナーにどう伝えればいいのか、関係が壊れてしまわないか、不安でいっぱいになるのは当然のことです。しかし、この問題から目をそむけることはできません。相手を思いやり、誠実に向き合うための伝え方のポイントをご紹介します。

【パートナーに伝えるときの4つの心得】

  1. 責めずに、冷静に事実を話す 最も避けたいのは、感情的になって相手を責めることです。「大事な話があるんだけど」と切り出し、「検査を受けたら陽性だった」「お医者さんから、パートナーも検査が必要だと言われた」という客観的な事実を伝えましょう。感染経路は特定できないことも多く、犯人探しは無意味です。

  2. 二人きりで話せる時間と場所を選ぶ 電話やLINEで済ませるのではなく、お互いがリラックスして、周りを気にせず真剣に話せる時間と場所を確保してください。

  3. 「一緒に乗り越えたい」という姿勢を示す 「あなたを疑っている」のではなく、「二人の健康のために協力したい」というメッセージを伝えることが大切です。「私もきちんと治療するから、あなたも一緒に検査を受けてほしい」と、前向きな姿勢で協力を求めましょう。

  4. 正しい情報で不安を和らげる 性感染症は誰にでも起こりうる病気であり、決して特別なことではありません。多くの性感染症はきちんと治療すれば改善が期待できること、検査が受けられるクリニックの情報などを共有し、相手の不安を少しでも軽くする手助けをすることも、誠実な向き合い方といえます。

まとめ

性病のチェックは、セルフチェックで気になる症状があればもちろん、無症状でも不安な行為があれば検査を受けることが大切です。

性感染症は無症状のケースが非常に多く、気づかないうちに不妊などの原因になったり、パートナーに感染を広げたりするリスクを伴います。 検査は症状があれば病院、費用を抑えたい場合は保健所、誰にも会わずに受けたいなら郵送検査キットなど、状況に合わせて選べます。

陽性でも多くの性病は早期治療で改善が期待できるため、ご自身と大切な人を守るために、少しでも不安があれば専門の医療機関へ相談しましょう。

参考文献

  1. 性器クラミジア感染症(詳細版)/国立健康危機管理研究機構(JIHS)
  2. 性器クラミジア感染症/厚生労働省
  3. 淋菌感染症(詳細版)/JIHS
  4. 梅毒(詳細版)/JIHS
  5. HIV感染症/AIDS(詳細版)/JIHS
  6. HIV検査まめ知識(ウインドウ期)/HIV検査・相談マップ(厚生労働省)
  7. 保健所等におけるHIV検査・相談のガイドライン/厚生労働省
  8. 性器ヘルペスウイルス感染症(詳細版)/JIHS
  9. 尖圭コンジローマ(詳細版)/JIHS
  10. 性感染症(検査と治療の基本)/厚生労働省
  11. 性感染症検査・相談マップ/厚生労働省
  12. Sexually transmitted infections (STIs) Fact sheet/WHO
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この記事を書いた人

福岡大学医学部卒業。日本救急医学会救急科専門医、日本集中治療医学会集中治療専門医、臨床研修指導医。救急・集中治療領域での豊富な診療経験を持ち、現在はクリニック院長として外来診療にも従事。HIV・性感染症をはじめとした医療情報分野の監修も行っている。

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