性病は何科?泌尿器科・婦人科・皮膚科・性病科の病院の選び方と保健所など検査できる場所

性病は何科?泌尿器科・婦人科・皮膚科・性病科の選び方と保健所など検査できる場所

性器のかゆみやおりものの変化など、性病を疑う症状があるものの、どの診療科へ行けばよいか分からず悩んでいませんか。デリケートな問題だけに、周囲に相談できず一人で不安を抱えている方もいるかもしれません。

✓ この記事でわかること

当記事では、症状や性別に応じた泌尿器科・婦人科・皮膚科・性病科の選び方を解説します。症状がない場合に検査を受けられる場所や、受診をためらう方向けの選択肢も紹介します。

目次

性病(性感染症)は何科を受診する?主な受診先は4つ

性病(性感染症)は何科を受診する?主な受診先は4つ

性病(性感染症)が疑われるときは、主に産婦人科(婦人科)、泌尿器科、皮膚科、性病科の4つの診療科が受診先となります。

性感染症(STI)とは、性器クラミジア感染症や梅毒、淋菌感染症など、性的接触を介して感染する可能性がある感染症を指します。口や性器などの粘膜や皮膚から感染し、オーラルセックス(口腔性交)やアナルセックス(肛門性交)などでも感染します。※

どの科を受診すればよいかは、症状が出ている場所や性別によって変わるため、ご自身の状況に合わせて選ぶことが大切です。

産婦人科(婦人科)・泌尿器科・皮膚科・性病科が受診先

日本産婦人科医会は、次のような症状があれば産婦人科・泌尿器科・皮膚科・性病科を受診するよう呼びかけています。※

  • 性器やそのまわりが腫れる、水ぶくれやブツブツができた
  • 性器やそのまわりがとてもかゆい・痛い
  • おしっこをするときに痛む
  • おりものの色がいつもと違う、ひどくにおう、量が急に増えた

具体的にどの科を選べばよいかは、後の項目で詳しく解説します。

症状がなくても検査を受けてよい

性感染症の検査は、症状がなくても受けられます。性感染症は、感染症の種類によっては無症状のことも多く、症状がないまま気づかないうちにパートナーに感染を広げてしまう可能性があります。

そのため、日本産婦人科医会は、性交や性行為に近い状況がある場合は1年に1回など、定期的に産婦人科でSTIのチェックを受けるようすすめています。※

定期的に検査を受ける目安を状況別に知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
>>性病検査の頻度はどのくらい?定期的に受ける目安を状況別に解説

症状・部位・性別でみる受診先の選び方

性病(性感染症)を疑う症状が出たときは、症状の場所や性別から、ご自身の状況に合った診療科を選びます。ここからは、状況別にどの診療科を選べばよいかを解説します。

男性で排尿時の痛みや尿道から膿が出るなら泌尿器科

男性の排尿時痛や尿道からの膿は、泌尿器科が受診先になります。尿道口から膿が出るのは、主に性行為によって尿道口から侵入した病原菌が尿道の粘膜に感染し、尿道炎を起こしていることが原因です。※

尿の出始めに痛む場合は、クラミジア性尿道炎や淋菌性尿道炎などの性感染症が原因であることが多いとされています。※ 淋菌とクラミジアでは治療に使う抗菌薬の種類が大きく異なるため、日本泌尿器科学会は、泌尿器科の専門医の診察を受けて治療するよう呼びかけています。※

尿道炎を放置すると、尿道が狭くなっておしっこが出にくくなる「尿道狭窄(にょうどうきょうさく)」につながる恐れもあるため、早めに受診しましょう。※ また、パートナー間で感染を繰り返す「ピンポン感染」を防ぐため、パートナーも一緒に検査と治療を受ける必要があります。※

男性が受ける性病検査の種類や、受けられる場所・タイミングについては、以下の記事で解説しています。
>>男性の性病検査|尿・血液・のどで調べる病気と受けられる場所・タイミング

女性でおりものの変化や性器の違和感があるなら産婦人科(婦人科)

女性でおりものの異常や性器周辺のかゆみ・痛みなどがある場合は、産婦人科(婦人科)が相談先になります。日本産婦人科医会は、次のような症状を受診の目安に挙げています。※

  • おりものの色が異常、ひどくにおう、急に増えた
  • 性器やそのまわりがとてもかゆい・痛い
  • おしっこをすると痛い

症状がない場合の定期的なチェックも、産婦人科で受けられます。

性器のまわりの水ぶくれ・ブツブツ・発疹なら皮膚科も選択肢

性器やその周りの皮膚に水ぶくれやブツブツといった「できもの」が現れたときは、皮膚科も受診先の選択肢となります。

日本皮膚科学会は、性感染症の初期症状として一番気が付きやすい皮膚に症状が出る病気が多いとしています。皮膚に症状が現れる性感染症として、梅毒、性器ヘルペス、尖圭コンジローマなどを挙げています。※

検査方法は病気によって異なります(詳しくは後の「病気によって検査の方法が異なる」で紹介します)。性器のまわりの見た目の変化が主な症状であれば、皮膚科への相談も検討しましょう。

梅毒の初期にみられる性器まわりの症状の見た目や場所は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
>>梅毒の初期症状とは?硬性下疳・バラ疹の見た目・場所・潜伏期間を医師が解説

性別や部位を問わず相談したいなら性病科

どの科を受診すればよいか迷う場合や、性別・症状の部位を問わず相談したい場合は、性病科も選択肢です。性病科は、その名のとおり性感染症を扱う診療科で、日本産婦人科医会も産婦人科・泌尿器科・皮膚科とならぶ受診先として挙げています。※

症状がないときはどこで検査できる?保健所と医療機関

症状がないときはどこで検査できる?保健所と医療機関

症状がなくても、性感染症(性病)の検査は保健所や医療機関で受けられます。

保健所では匿名・無料で検査を受けられるところがある

費用やプライバシーの懸念から病院に行きづらいと感じる方には、保健所という選択肢があります。保健所によっては、梅毒などの性感染症の検査を匿名・無料で受けられます。※

特にHIV検査は、全国の保健所や自治体の特設検査施設で、無料・匿名で受けることが可能です。※ 名前を伝える必要はありません。また、自分の住んでいる場所以外の保健所でも検査を受けられます。※

HIV検査を受けられる場所や費用、匿名検査の流れについては、次の記事にまとめています。
>>HIV検査はどこで受けられる?費用と匿名検査の流れを解説

保健所によっては、夜間・休日検査やレディース・デーなどが設けられているところもあります。※

検査項目は保健所によって異なるため事前に確認する

保健所で受けられる検査項目は施設ごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。厚生労働省も「性感染症の検査項目は保健所によって異なりますので、調べてから受検してください」と呼びかけています。※

訪問してから「受けたかった検査ができなかった」という事態を避けるためにも、事前にウェブサイトや電話で以下の点を確認しておきましょう。

  • 自分が希望する検査を実施しているか
  • 検査を受けられる日時(曜日や時間帯)
  • 予約は必要か
  • 結果はいつ、どのようにしてわかるのか

厚生労働省の検査相談マップで近くの検査場所を探す

検査を受けられる場所は、厚生労働省が案内している次のウェブサイトで探せます。

  • 性感染症検査・相談マップ ※
  • HIV検査相談マップ ※

都道府県やキーワードから、保健所・自治体などの検査機関や、病院・クリニックを探せます。「どの保健所に行けばよいかわからない」という場合は、まずこのマップで通いやすい検査場所を探してみてください。

受診先を選ぶときに知っておきたいこと

性感染症の受診先を選ぶにあたり、最低限知っておきたいポイントは3つです。

受診先選びで知っておきたい3つのこと
  1. 病気によって検査方法が違うこと
  2. パートナーも一緒に治療する必要があること
  3. 放置すると不妊や合併症につながることがあること

病気によって検査の方法が異なる

性感染症の検査は、疑われる病気によって方法が異なります。治療薬を選ぶには、原因となっている病原体を調べる必要があるためです。例えば、尿道炎の原因が淋菌かクラミジアかによって、有効な抗菌薬は大きく異なります。※

日本皮膚科学会が挙げる主な病気の検査方法の例を、以下の表に整理しました。

病名主な検査方法の例
梅毒病変部の検査、血液検査(血清反応)
淋菌感染症・性器クラミジア感染症核酸増幅法(病原体の遺伝子を調べる検査)など
尖圭コンジローマ視診。確定診断は組織の一部を採って調べる組織診断
HIV抗体スクリーニング検査と確認検査

※ 厚生労働省も、検査方法は症状により異なり、主に血液検査や視診、尿検査、おりものを採取した検査になるとしています。※ どの検査が必要かは医師が判断するため、気になる症状は正直に伝えましょう。

パートナーも一緒に検査・治療を受ける

性感染症の治療では、ご自身だけでなく、パートナーにも検査と治療を受けてもらうことが大切です。もしご自身だけが治療して治っても、パートナーが感染したままだと、性的な接触を通じて再び感染してしまいます。このように、お互いに病気をうつし合うことを「ピンポン感染」と呼びます。

ピンポン感染を防ぐために、パートナーも一緒に検査と治療を受ける必要があります。※ 性感染症は、感染症の種類によっては無症状のことも多くあります。※ パートナーに症状がないからといって、感染していないとは限らないのです。

パートナーに感染の可能性を伝えるのは勇気がいることですが、お二人の健康のために、一緒に検査を受けることを話し合ってみてください。

放置すると不妊や合併症につながることがある

性感染症を治療しなかった場合、不妊の原因となったり、神経や心臓などに深刻な合併症や後遺障害を残したりすることがあります。※

⚠️ 注意

また梅毒は、症状が消えても放置していると、数年から数十年の間に心臓や血管、脳など複数の臓器に病変が生じ、時には死にいたることもあります。※

性感染症の多くは治療できますが、早期の段階で治療しなければ合併症や後遺障害が残る可能性があるものもあります。気になることがあれば、自己判断で放置せず検査を受けましょう。※

受診をためらうならオンライン診療という選択肢

受診をためらうならオンライン診療という選択肢

「性病が心配だけれど、病院へ行く時間がない」「待合室で誰かに会うのが不安」といった理由で受診をためらっている方にとって、オンライン診療という選択肢があります。

オンライン診療とは(対面診療に切り替える場合もある)

オンライン診療は、スマートフォンやパソコンなどを使い、自宅などにいながら医師の診察や薬の処方を受けられる診療です。通院が難しい方の受診機会の確保や、仕事・育児・介護との両立などが期待されています。※

ただし、緊急を要する症状である場合など、医師がオンライン診療を行うことが適切でないと判断した場合は、オンライン診療を中止し、速やかに対面診療に切り替えます。※

また、メールやチャットのみで診療することはできません。※

自宅でできる検査キット(4種検査キット・HIV検査キット)

当院(かぐやクリニック)はオンライン診療のみのクリニックで、自宅でできる検査キットとして、4種検査キットとHIV検査キットを扱っています。4種検査キットで調べられるのは、次の4つです。

  • HIV
  • 梅毒
  • B型肝炎
  • C型肝炎

キットは自宅に届き、同梱の器具で指先から採血して、その場で検査します。返送は不要で、約15分で判定ラインを目で見て確認できます。

ただし、特にHIV検査では「ウィンドウ期間」を理解しておくことが重要です。これは、感染してから体内で抗体などが作られ、検査で検出できるようになるまでのタイムラグを指します。

米国疾病予防管理センター(CDC)によると、指先の血液を使う迅速な抗原・抗体検査では、感染の機会から18〜90日で検出できるようになるとされています。※ ウィンドウ期間内の検査で陰性だった場合は、その検査のウィンドウ期間が過ぎてから再検査するよう勧められています。検査を受ける時期は、キットの案内や医師の指示を確認してください。※

クラミジア・淋病などは医療機関での検査を

クラミジアや淋病などは、当院の検査キットでは調べられません。医療機関で検査を受けてください。症状がある場合は、男性なら泌尿器科、女性なら産婦人科(婦人科)など、この記事で紹介した診療科が受診先になります。

なお、HIVの予防内服(PrEP)を始める際には、性感染症(淋菌・クラミジア・梅毒)の検査を行うことが推奨されています。※ 気になる症状があれば、自己判断せず、医師に相談して必要な検査を受けましょう。

HIVが心配な行為の直後ならPEP、繰り返すならPrEP

HIVの感染リスクに対しては、行為の「後」または「前」に薬を飲む予防法があります。それがPEP(ペップ)とPrEP(プレップ)で、当院のオンライン診療でも扱っています。

PEP(Post-Exposure Prophylaxis)は、コンドームの破損など、HIVに感染したかもしれない行為があった「後」に行う緊急的な予防法です。

重要なのは、感染の可能性がある行為からできるだけ早く、遅くとも72時間以内に薬の内服を始めることです。服用期間は28日間です。※ PEP服用後も、感染していないことを確認するために、行為から4〜6週後と12週後にHIV検査を受ける必要があります。※

PrEP(Pre-Exposure Prophylaxis)は、HIVに感染するリスクのある行為を繰り返す可能性がある場合に、「前もって」薬を飲んで感染を予防する方法です。

PrEPを始めるかどうかは、過去と未来の3カ月間のHIV感染リスクを評価して判断します。※ 服用中も、安全のために少なくとも3カ月に1回は定期的にHIV検査を受け、感染していないことを確認し続ける必要があります。※

PEPとPrEPの主な違いは、以下のとおりです。

PEP(ペップ)
曝露後予防
PrEP(プレップ)
曝露前予防
目的感染したかもしれない行為の後の緊急予防感染リスクのある行為の事前予防
服薬開始・行為の後、72時間以内※・医師と相談の上、計画的に開始※
服薬期間・28日間※・医師と相談しながら継続(少なくとも3か月ごとにHIV感染を評価)※
対象者・コンドームが破れた
・予期せぬリスク行為があった など
・過去3か月間と今後3か月間のHIV感染リスクを評価して判断※

これらの予防法は、いずれも医師の診察と処方が必要です。ご自身の状況に合わせて、どの方法が適切か医師に相談してください。

まとめ

性病の受診先は、症状の場所や性別に応じて泌尿器科や婦人科などを選ぶことが大切です。

性感染症は症状がない場合も多く、放置すると不妊の原因になる可能性もあります。 ご自身とパートナーの健康を守るため、早期の検査とパートナーとの同時治療を心がけましょう。

受診をためらう場合は、保健所での匿名・無料検査や、オンライン診療も選択肢です。一人で抱え込まず、医療機関や保健所に相談してください。

参考文献

  1. 性感染症(厚生労働省)
  2. 性感染症について教えて下さい。(日本産婦人科医会)
  3. 尿道口から膿が出る(日本泌尿器科学会「こんな症状があったら」)
  4. 排尿痛がある、排尿時に痛い(日本泌尿器科学会「こんな症状があったら」)
  5. 皮膚科Q&A 性感染症(Sexually transmitted infections, STI)(日本皮膚科学会)
  6. 性感染症検査・相談マップ/HIV検査相談マップ(厚生労働省)
  7. 梅毒(厚生労働省)
  8. オンライン診療について 国民・患者の皆様へ(厚生労働省)
  9. Getting Tested for HIV(米国疾病予防管理センター CDC)
  10. Antiretroviral Postexposure Prophylaxis After Sexual, Injection Drug Use, or Other Nonoccupational Exposure to HIV — CDC Recommendations, United States, 2025(米国疾病予防管理センター MMWR Recommendations and Reports Vol.74 No.1)
  11. 日本におけるHIV感染予防のための曝露前予防(PrEP)利用の手引き 第2版(日本エイズ学会)
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この記事を書いた人

福岡大学医学部卒業。日本救急医学会救急科専門医、日本集中治療医学会集中治療専門医、臨床研修指導医。救急・集中治療領域での豊富な診療経験を持ち、現在はクリニック院長として外来診療にも従事。HIV・性感染症をはじめとした医療情報分野の監修も行っている。

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