性病は自覚症状なしでも感染している?症状が出にくい性病と検査を受けるタイミング

性病は自覚症状なしでも感染している?症状が出にくい性病と検査を受けるタイミング

性病は痛みやかゆみといった自覚症状がなくても感染していることがあります。「症状がないから大丈夫」と考えていませんか。

世界保健機関(WHO)によると、治療で治せる性感染症に世界で毎日100万人以上(15〜49歳)が新たに感染しており、その多くは無症状とされています。

✓ この記事でわかること

この記事では、自覚症状が出にくい代表的な性病の種類と、感染を放置した場合のリスクを解説します。症状がなくても検査を検討すべきタイミングや、どこで検査を受けられるかについても紹介します。

目次

性病は自覚症状がなくても感染していることがある

性病は自覚症状がなくても感染していることがある

性病(性感染症)は、感染症の種類によっては無症状のことも多い病気です。※

世界保健機関(WHO)の報告によると、世界では15〜49歳の人が毎日100万人以上、治療で治せる性感染症に新たに感染しており、その多くは無症状であるとされています。※

性的な接触で感染する病原体は、細菌やウイルス、寄生虫など30種類以上が知られています。※

性病とは何か、主な種類や感染経路、放置するリスクについては、こちらの記事でまとめています。
>>性病(性感染症)とは?主な種類と原因・感染経路、放置するリスクと検査の受け方

感染してもすぐに症状が出ない・症状が消えることがある

性病に感染してもすぐに症状が出るとは限らず、一度出た症状が自然に消えてしまうこともあります。感染しても、すぐに症状が出ず比較的軽い症状にとどまる場合や、無症状のままの場合があります。また、一度症状が出ても、感染力があるまま症状が消えることもあります。※

例えば梅毒の場合、感染初期にあらわれる病変は痛みがないことが多く、約3〜6週間で自然に軽くなります。※ このように、症状が出なかったり、出ても軽かったり、一度消えたりするために、ご自身が感染していることに気づきにくいのです。

気付かないうちにパートナーへうつしてしまうことがある

ご自身に症状がないために感染に気づかず、知らないうちにパートナーへ性病をうつしてしまうことがあります。※ 性病は、口や性器などの粘膜や皮膚から感染し、オーラルセックス(口腔性交)やアナルセックス(肛門性交)などでも感染します。※

さらに、ヘルペスや淋病、梅毒などの性感染症は、HIVに感染するリスクを高めることがあります。※ 自分自身とパートナー、両方の健康を守るためには、「症状がないから大丈夫」と思い込まず、感染のリスクや不安があれば検査を受けることが大切です。

梅毒とHIVの関係や、両方をまとめて調べる方法を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>梅毒とHIVの関係とは?感染しやすくなる理由と同時感染、両方をまとめて調べる方法

自覚症状が出にくい性病

性病は、感染してもはっきりとした症状が現れにくいものが少なくありません。症状が出ないからといって、感染していないとは限らないのです。ここでは、症状が出にくい、あるいは症状に気づきにくい代表的な性病について解説します。

クラミジア:女性は自覚症状が乏しいことが多い

クラミジアは、特に女性で自覚症状が乏しいことが多い性感染症です。女性が感染すると、子宮頸管炎や骨盤内付属器炎(PID)、肝周囲炎、不妊などを起こしますが、自覚症状が乏しい場合が多いとされています。※

一方、男性では尿道炎が最も多く、排尿時の痛みや尿道の不快感、かゆみなどの自覚症状が出ます。潜伏期間は淋菌による尿道炎に比べて長く、2〜3週間とされています。※

また、クラミジアは淋菌との重複感染も多いことが知られています。※

淋病:男性でも無症状のことがあり、のど・直腸の感染は気付きにくい

淋病は、男性でも症状が典型的でないことや無症状のことがあり、のどや直腸への感染は症状が自覚されないことが多い病気です。

男性が尿道に感染した場合、通常は2〜9日の潜伏期間の後に、膿のような分泌物が出て、排尿時に痛みが出ます。しかし最近では、男性でも症状が典型的でなかったり、無症状で経過したりすることも報告されています。※

女性の場合は、男性よりも症状が軽く自覚されないまま経過することが多く、炎症が上のほうへ広がっていくことがあります。※ のどや直腸の感染は症状が自覚されないことが多く、これらの部位も感染源となります。また、淋病は何度も再感染することがあります。※

梅毒:症状が自然に消えても治ったわけではない

梅毒は、感染後に現れる症状が治療しなくても自然に軽くなるため、治ったと勘違いされやすい病気です。感染から3週間程度経つと、感染した場所に痛みのないしこりやただれ(第1期)ができることがあります。これは痛みがないことが多く、約3〜6週間で自然に軽くなります。※

その後、第1期の症状が出てから4〜10週間程度経つと、手のひらや足の裏、体中に、痛みやかゆみのない発疹(バラ疹など、第2期)が現れることがありますが、これも自然に軽くなります。※

しかし、症状が消えても放置していると、数年から数十年の間に心臓や血管、脳など複数の臓器に病変が生じることがあります。※ 一度治っても再び感染することがあり、梅毒と診断された場合はパートナーも医療機関を受診し、治療を受けることが重要です。※

HIV:自覚症状のない時期が数年から十数年続く

HIVに感染しても、長期間にわたって自覚症状がない時期が続くのが特徴です。感染から数週間後に、発熱、筋肉痛、頭痛といったインフルエンザに似た症状が現れる場合があります。※

その後、自覚症状のない時期が通常は数年から十数年続きますが、その間にも病気と闘う免疫力の低下が進行します。※

HIVに感染してから発症するまでの流れは、こちらの記事で詳しく解説しています。
>>HIVの潜伏期間はどのくらい?感染初期から発症までの流れを解説

B型肝炎・C型肝炎:気付かないまま経過することがある

B型肝炎やC型肝炎は、性的接触によって感染する可能性のある感染症の例として挙げられており※、感染しても自覚症状がないまま経過することがあります。

  • B型肝炎:健康な皮膚からはまず感染しませんが、口や膣などの粘膜に付着すると感染します。※ 急性肝炎を起こすと全身のだるさや吐き気などの症状が出ますが、肝炎の程度が軽く、自分では気づかないうちに治ってしまう例もあります。※
  • C型肝炎:感染者の血液を介して感染します。感染した人の60〜80%が持続感染者となり、慢性肝炎、肝硬変、肝がんへと進行する場合があります。慢性肝炎の段階ではほとんどの場合、自覚症状がありません。※

症状がないまま放置するとどうなる?

症状がないまま放置するとどうなる?

性病は、感染症の種類によっては無症状のことも多く、治療をしなかった場合、深刻な合併症につながることがあります。※ 症状がなくても感染力があることがあるため、ご自身が気づかないうちにパートナーへ病気をうつしてしまう可能性もあります。※

早期発見、早期治療がとても重要です。

不妊や神経・心臓などの合併症につながることがある

症状がないからと性病を治療しないでいると、不妊の原因になったり、神経や心臓などに深刻な合併症や後遺障害を残したりすることがあります。※ クラミジアや淋病では、次のような影響が知られています。

  • 女性の場合:クラミジアは子宮頸管炎や骨盤内付属器炎(PID)、不妊などを起こしますが、自覚症状が乏しい場合が多いとされています。※ 淋病は米国で、クラミジアとともに骨盤炎症性疾患、卵管不妊症、子宮外妊娠、慢性骨盤痛の主要な原因となっています。※
  • 男性の場合:淋菌やクラミジアによる尿道炎から、精巣上体炎へ進むことがあります。※

このように、今、痛みやかゆみがなくても、体の中で病気が進んでいる可能性があります。感染の心当たりがあれば、症状の有無にかかわらず検査を受けることが大切です。

梅毒は数年から数十年後に臓器に病変が出ることがある

⚠️ 注意

梅毒は、初期の症状が自然に消えても、放置していると数年から数十年の間に心臓や血管、脳などの複数の臓器に病変が生じ、時には死にいたることもあります。※

また、梅毒は感染しても無症状の場合もあり、治療に結びつかないだけでなく、自分の知らない間に他の人に感染させてしまうことがあります。※ 梅毒は、医師による診察と血液検査(抗体検査)で診断し、抗菌薬で治療します。※

C型肝炎は慢性肝炎・肝硬変・肝がんへ進むことがある

C型肝炎は、自覚症状がないまま、慢性肝炎や肝硬変、さらには肝がんへと進行する場合があります。※ C型肝炎ウイルスに感染すると、60〜80%の人が持続感染者になります。肝臓は「沈黙の臓器」とも言われ、C型肝炎も慢性肝炎の段階ではほとんどの場合、自覚症状がありません。※

現在は、ほとんどの人が飲み薬での治療を受けています。※ 症状がなくても、感染の不安があれば検査を受けることが大切です。

症状がなくても検査を受けたほうがよいタイミング

感染しても症状が出ないことや、症状が消えることがあるため、感染のリスクや不安を感じた場合には検査を受けることが大切です。※

症状がないからといって安心せず、ご自身の状況に合わせたタイミングで検査を受けましょう。ここでは、特に検査を受けたほうがよいタイミングについて解説します。

感染の不安がある性行為があったとき

感染の不安がある性行為があった場合は、症状がなくても検査を検討してください。性病は、性器同士の接触だけでなく、オーラルセックス(口腔性交)やアナルセックス(肛門性交)などでも、口や性器などの粘膜や皮膚から感染します。※

感染しても症状が出ない、あるいは症状が軽く気づかないうちに、パートナーへうつしてしまう可能性があります。早期の段階で治療しなければ、合併症や後遺障害が残る可能性があるものもあるため、早期発見、早期治療がとても重要です。※

パートナーの感染がわかったとき

パートナーの性病感染がわかったら、ご自身に症状がなくても早めに検査を受けてください。パートナーの感染が明らかな場合は、病院やクリニックへの受診が勧められています。※ 梅毒では、診断された人のパートナーも医療機関を受診し、治療を受けることが重要とされています。※

男性と性交渉をする男性は少なくとも年1回

男性と性交渉をする男性(MSM)は、症状がなくても、少なくとも年に1回は性病検査を受けることが推奨されています。

これは米国疾病予防管理センター(CDC)が推奨しているもので、クラミジアと淋菌はコンドームの使用にかかわらず、行為のあった場所の検査が勧められています。対象は次の病気です。

  • クラミジア(尿道・直腸)
  • 淋菌(尿道・直腸・のど)
  • 梅毒
  • HIV(感染の有無がわからない、または陰性の場合)

感染のリスクが高い場合は、3〜6カ月ごとの検査が勧められます。※

定期的に性病検査を受ける目安を状況別に知りたい方は、次の記事も参考にしてください。
>>性病検査の頻度はどのくらい?定期的に受ける目安を状況別に解説

HIV検査は約1か月で受けられ、3か月過ぎたら確認の検査を

HIVに感染しているかどうかを知る唯一の方法は、検査を受けることです。※ HIVの抗体検査では、感染の機会から約1か月あれば抗体が検出されてくるため、その時点で検査を受ける意味はあります。※

ただし、検査の種類ごとに、感染してから検査で検出できるようになるまでの期間(ウィンドウ期間)があります。感染の機会の後に受けた検査が陰性だった場合は、受けた検査のウィンドウ期間が過ぎてから、もう一度検査を受けるよう勧められています。※

きちんと陰性を確認するためには、3か月過ぎてからもう一度HIV検査を受けることが勧められています。※

症状がないときの性病検査はどこで受ける?

症状がないときの性病検査はどこで受ける?

症状がないときに性病検査を受ける場所には、「保健所」「医療機関」「自宅で使える検査キット」という選択肢があります。検査は、保健所や医療機関で受けることができます。※ それぞれの特徴を知って、ご自身の状況に合った方法を選びましょう。

保健所:無料・匿名でHIVなどの検査を受けられる

保健所では、無料・匿名でHIV検査を受けられます。※

梅毒やクラミジア、淋菌などの検査も一緒に受けられる保健所がありますが、検査項目は保健所によって異なります。※ また、予約が必要な保健所があり、梅毒・クラミジア・淋菌などの検査は一部有料の場合もあるため、事前に調べてから受検しましょう。※

以下のようなケースでは、病院やクリニックへの受診が勧められています。※

  • 症状がある
  • パートナーの感染が明らかになっている

医療機関:症状がなくてもクラミジア・淋病を調べられる

医療機関でも、性病の検査を受けることができます。※ 検査方法は症状により異なりますが、主に血液検査や視診、尿検査、おりものを採取した検査となります。※

また、HIVの感染を予防する薬(PrEP)を始める際には、すべての希望者に性感染症(淋菌・クラミジア・梅毒)のスクリーニング検査を行うことが推奨されています。※ 厚生労働省の性感染症検査・相談マップでは、受診先として性病科、感染症科、泌尿器科、婦人科などが案内されています。※

かぐやクリニックの4種検査キット:自宅で指先から採血してその場で検査

かぐやクリニックの4種検査キットは、自宅に届き、同梱の器具で指先から採血して、その場で検査するキットです。返送は不要で、約15分で判定ラインを目で見て確認できます。

検査のステップ
  1. 検査キットが自宅に届く
  2. 同梱の器具で指先から採血する
  3. その場で検査し、約15分待つ
  4. 判定ラインを目で見て結果を確認する

このキットで調べられるのは、以下の4項目です。

  • HIV
  • 梅毒
  • B型肝炎
  • C型肝炎

ただし、クラミジアや淋病については調べることができないため、これらの感染が心配な場合は医療機関での検査が必要です。 誰にも会わずに、自宅で検査を済ませたい方に向いた方法です。

行為直後の不安はPEP、繰り返すならPrEP

HIV感染については、予防内服という選択肢があります。これには「PEP(ペップ)」と「PrEP(プレップ)」の2種類があり、どちらも医療機関で相談できます。

PEP(曝露後予防内服)
「感染したかもしれない」という不安な行為があった後に薬を飲む方法です。 できるだけ早く、遅くとも行為から72時間以内に飲み始め、28日間服用します。※

PrEP(曝露前予防内服)
HIVに感染するリスクのある行為を繰り返す方が、前もって薬を飲むことで感染を予防する方法です。過去3か月間と今後3か月間のHIV感染リスクを評価して、適しているかを判断します。※ 服用している間は、少なくとも3か月ごとにHIV感染の評価を受けます。※

PEPとPrEPの違いをまとめると、以下のようになります。

PEP(曝露後予防)PrEP(曝露前予防)
目的行為の後の予防行為の前からの予防
対象・HIV感染リスクのある行為があった人・HIV感染リスクのある行為を繰り返す人
服薬タイミング・行為後72時間以内に開始し28日間・行為の前から服用し、少なくとも3か月ごとに評価

いずれの方法も医師の判断のもとで行います。気になる方は医療機関に相談してください。

まとめ

性病は、痛みやかゆみといった自覚症状がなくても感染している可能性があります。症状が出ない、軽い、一度出ても消えるといった理由で、感染に気づきにくいのが特徴です。

気づかないうちにパートナーへうつしてしまったり、治療しないことで不妊や合併症につながったりすることがあります。自分と大切な人の健康を守るためにも、「症状がないから大丈夫」と考えず、早期発見・早期治療を心がけることが重要です。

感染の不安がある性行為があった、パートナーの感染がわかったなど、心当たりがある場合は、症状の有無にかかわらず医療機関や保健所で検査を受けましょう。

参考文献

  1. 性感染症(厚生労働省)
  2. Sexually transmitted infections (STIs) Fact sheet, 10 September 2025(世界保健機関 WHO)
  3. 性器クラミジア感染症(詳細版)(国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト)
  4. 淋菌感染症(詳細版)(国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト)
  5. JAID/JSC感染症治療ガイドライン2018 ―男性尿道炎とその関連疾患―(日本感染症学会・日本化学療法学会)
  6. 梅毒(厚生労働省)
  7. 梅毒(詳細版)(国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト)
  8. HIVとエイズ(厚生労働省)
  9. B型肝炎(肝炎情報センター/国立健康危機管理研究機構)
  10. C型肝炎について(肝炎情報センター/国立健康危機管理研究機構)
  11. HIV検査相談マップ/性感染症検査・相談マップ(厚生労働省)
  12. Getting Tested for HIV(米国疾病予防管理センター CDC)
  13. STI Screening Recommendations(米国疾病予防管理センター CDC「Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines」)
  14. Antiretroviral Postexposure Prophylaxis After Sexual, Injection Drug Use, or Other Nonoccupational Exposure to HIV — CDC Recommendations, United States, 2025(米国疾病予防管理センター MMWR Recommendations and Reports Vol.74 No.1)
  15. 日本におけるHIV感染予防のための曝露前予防(PrEP)利用の手引き 第2版(日本エイズ学会)
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

福岡大学医学部卒業。日本救急医学会救急科専門医、日本集中治療医学会集中治療専門医、臨床研修指導医。救急・集中治療領域での豊富な診療経験を持ち、現在はクリニック院長として外来診療にも従事。HIV・性感染症をはじめとした医療情報分野の監修も行っている。

目次