性行為の後に熱が出て、「もしかして性病では」と不安を感じていませんか。性病の中には発熱を伴うことがあるものがありますが、発熱は風邪など性病以外の病気でも起こるため、症状だけで判断することはできません。
この記事では、発熱を伴うことがある性病の種類と、熱が出ないことも多いという事実、風邪と見分けがつきにくい理由、検査を受ける時期と場所を解説します。
性行為の後に熱が出たら性病の可能性はある?
性行為の後に熱が出た場合、性感染症(性病)が原因の可能性もありますが、それだけで性病かどうかはわかりません。
性病の中には発熱を伴うことがあるものがある
性感染症とは、性的接触を介して感染する可能性がある感染症のことで、口や性器などの粘膜や皮膚から感染し、オーラルセックスやアナルセックスでも感染します※。
性病の主な種類や原因・感染経路をあらためて確認したい方は、こちらの記事をご覧ください。
>>性病(性感染症)とは?主な種類と原因・感染経路、放置するリスクと検査の受け方
性感染症の中には、発熱を伴うことがあるものがあります。一次情報で確認できる主なものは次のとおりです。
それぞれの特徴は、次の章で説明します。
熱が出たからといって性病とは限らない
性行為の後に熱が出たとしても、それが性病によるものとは限りません。
発熱やのどの痛み、だるさといった症状は、性病以外の病気でも起こります。米国政府のHIV情報サイトも、HIVの症状の多くは他の病気でも起こるため、症状があるというだけでHIVだと決めつけないよう呼びかけています※。
気になる症状がある場合は、自己判断せずに医療機関に相談し、原因を確かめましょう。
性病は熱が出ないことや無症状のことも多い
反対に、熱が出ないから性病ではない、ともいえません。厚生労働省は、性感染症は種類によっては無症状のことも多く、治療をしなかった場合、不妊の原因となったり、神経や心臓などに深刻な合併症や後遺障害を残したりすることもあるとしています※。
例えばHIVでは、感染してもまったく症状が出ない人もいます※。また、インフルエンザに似た症状の後、自覚症状のない時期が通常は数年から十数年続きます※。熱があるかないかで感染を判断することはできないため、感染の心当たりがある場合は検査で確かめることが必要です。
自覚症状が出にくい性病や、症状がない場合に検査を受けるタイミングは、以下の記事で詳しく解説しています。
>>性病は自覚症状なしでも感染している?症状が出にくい性病と検査を受けるタイミング
発熱を伴うことがある性病の種類

ここでは、発熱を伴うことがある性病について、一次情報に書かれている範囲で特徴を説明します。いずれも、熱が出る人ばかりではありません。
HIV:感染から数週間後にインフルエンザに似た症状が出ることがある
米国政府のHIV情報サイトによると、HIVに感染してから2〜4週間のうちに、約3分の2の人がインフルエンザのような症状を経験します。これは体が感染に反応して起こるものです。症状には次のようなものがあります※。
- 発熱、悪寒
- のどの痛み
- 筋肉痛、だるさ
- 寝汗
- リンパ節の腫れ
- 発疹
- 口内炎
国内の専門機関の診療ハンドブックでも、HIVの初感染例の40〜90%で、発熱、咽頭痛、リンパ節の腫れや皮疹のような「インフルエンザ様」などの症状がみられると考えられているとしています。多くは特定の病気に特有ではない症状で、数週の経過で自然に軽くなるため、見逃されやすいとされています※。
一方で、感染してもまったく症状が出ない人もいます※。
梅毒:第2期に発熱やだるさ、発疹が出ることがある
梅毒は、病期によって異なる症状が出る一方で、症状が出ないこともあります※。感染後3週間程度で、病原体(梅毒トレポネーマ)が入り込んだ部分にしこりなどの病変が出ます(第1期)。痛みがないことが多く、約3〜6週間で自然に軽くなります※。
第1期の症状が出てから4〜10週間程度たつと、病原体が血流に乗って全身に広がり、次のような症状が出ることがあります(第2期)※。
- 発熱、倦怠感(だるさ)
- 全身のリンパ節の腫れ
- バラ疹(手のひらや手の甲、すね、腕、背中などを中心に出る、痛みのない赤い発疹)
これらの症状も、第1期と同様に自然に軽くなります※。厚生労働省は、症状が消えても放置していると、数年から数十年の間に心臓や血管、脳など複数の臓器に病変が生じることがあるとしています※。
梅毒の初期症状(硬性下疳やバラ疹)の見た目や潜伏期間は、こちらの記事で紹介しています。
>>梅毒の初期症状とは?硬性下疳・バラ疹の見た目・場所・潜伏期間を医師が解説
性器ヘルペス:初めての感染では発熱などの全身症状を伴うことが多い
性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスが性器やその付近に感染して起こります。初めて感染した場合は、感染後3〜7日の潜伏期の後に、性器に小さな水ぶくれや浅い潰瘍(かいよう:皮膚や粘膜がただれた状態)が出て、発熱などの全身症状を伴うことが多いとされています※。
国立の感染症情報サイトでは、初めての感染による症状(急性型)がもっとも重く、感染の機会から2〜21日後に、性器の不快感やかゆみなどに続いて、次のような症状が出るとしています※。
- 発熱、全身のだるさ
- 病変の近くのリンパ節の腫れ
- 強い痛みを伴う、複数の浅い潰瘍や小さな水ぶくれ
これらは2〜4週間で自然に治りますが、その後も刺激をきっかけに再発を繰り返すことがあります※。再発時は、初めての感染に比べて症状が軽いとされています※。
クラミジア・淋菌:精巣上体炎や骨盤内炎症性疾患を起こすと熱が出ることがある
クラミジアや淋菌は、男性では尿道炎を起こすことが多く、女性では自覚症状が乏しい場合が多いとされています※。これらの感染から合併症を起こすと、発熱することがあります。
男性の場合:精巣上体炎
尿道炎から精巣上体炎へ進むことがあり、淋菌やクラミジアが原因になります。精巣上体炎では、発熱(高熱であることが多い)と、陰嚢(いんのう)の中の腫れや押したときの痛みが主な症状です。淋菌によるものは多くが発熱などの全身の炎症症状を伴い、クラミジアによるものは発熱の程度が軽いことが多いとされています※。
女性の場合:骨盤内炎症性疾患(PID)
骨盤内炎症性疾患は女性の生殖器の感染症で、クラミジアや淋菌などの性感染症が原因となることが多い合併症です。米国疾病予防管理センター(CDC)は、症状として下腹部の痛み、発熱、普段と違うにおいの強いおりもの、性交時の痛みや出血、排尿時の焼けるような感じ、月経以外の出血を挙げています。不妊や子宮外妊娠などにつながることがあるため、これらの症状があれば医師の診察を受けるよう勧めています※。
風邪との見分けがつきにくい理由
性病による発熱は、風邪など他の病気による発熱と症状が似ていることがあり、症状だけで原因を見分けることはできません。
発熱・のどの痛み・だるさは性病以外の病気でも起こる
HIVの感染初期の症状は、厚生労働省も「インフルエンザに似た症状」と説明しています※。発熱やのどの痛み、だるさは、特定の病気に特有の症状ではありません※。
また、淋菌がのどに感染した場合、多くは無症状ですが、のどの痛みや声がれが出ることもあります※。このように、症状から「これは風邪だ」「これは性病だ」と見分けることはできません。
熱が下がっても感染が治ったとは限らない
性病が原因の場合、熱が下がったり症状が軽くなったりしても、感染が治ったとは限りません。
HIVの感染初期の症状は数週の経過で自然に軽くなるため、見逃されやすいとされています※。梅毒の第2期の発熱などの症状も自然に軽くなりますが※、症状が消えても放置していると、数年から数十年の間に複数の臓器に病変が生じることがあります※。
熱が下がったことを「治った」と受け止めず、感染の心当たりがあれば検査で確かめましょう。
症状だけでは判断できないため検査で確かめる
米国政府のHIV情報サイトは、HIVに感染しているかどうかを症状で判断することはできず、確実に知る唯一の方法は検査を受けることだとしています※。ほかの性病も、症状が出ないことがあります。
熱があってもなくても、感染の心当たりがある場合は検査で確かめることが大切です。
性病の検査はいつ・どこで受ける?
検査は、保健所や医療機関で受けられます※。熱などの症状があるかどうかと、心配な行為からの期間によって、受け方が変わります。
熱や性器の症状があるときは医療機関を受診する
発熱や、性器の痛み・かゆみ・水ぶくれ、おりものの異常など、症状がすでに出ている場合は医療機関を受診しましょう。厚生労働省も、症状がある場合は病院やクリニックの受診を勧めています※。
性感染症の多くは治療できますが、早期の段階で治療しなければ合併症や後遺障害が残る可能性があるものもあり、早期発見・早期治療が重要です※。検査方法は症状により異なり、主に血液検査や視診、尿検査、おりものを採取した検査が行われます※。
受診先に迷う場合は、男性は泌尿器科、女性は婦人科などが選択肢になります。
HIV検査を受ける時期の目安
HIVは、感染の機会から検査までの期間が短すぎると、感染していても検査で検出されないことがあります。検査で検出できるようになるまでの期間を「ウィンドウ期間」といい、検査の種類によって異なります。CDCは次の期間を目安として示しています※。
| 検査の種類 | 通常検出できるようになる時期(感染の機会から) |
|---|---|
| NAT(核酸増幅検査) | 10〜33日後 |
| 静脈血を使う抗原・抗体検査 | 18〜45日後 |
| 指先の血液を使う迅速な抗原・抗体検査 | 18〜90日後 |
| 抗体検査 | 23〜90日後 |
厚生労働省のHIV検査情報サイトでは、抗体検査では約1か月あれば抗体が検出されてくるため、その時点で検査をしても意味がないことはないとしたうえで、きちんと陰性を確認するためには、3か月過ぎてからもう一度検査を受けることを勧めています※。
CDCも、ウィンドウ期間内の検査で陰性だった場合は、期間が過ぎてからもう一度検査を受けるよう勧めています※。
HIV検査がいつから正確になるのか、検査時期の注意点は次の記事で解説しています。
>>HIV検査はいつから正確?感染後に検査できる時期と注意点を解説
保健所では無料・匿名で検査を受けられる
症状はないけれど感染が不安という場合は、保健所の検査も選択肢になります。
ただし、検査項目は保健所によって異なり、予約が必要な保健所もあります。検査日時が変わっていることもあるため、保健所に問い合わせてから受けましょう※。
かぐやクリニックでできること

かぐやクリニックはオンライン診療のクリニックです。性行為の後の不安に対して、行為からの時間に応じて、PEPの相談と4種検査キットを利用できます。
行為から72時間以内でHIVが心配ならPEP
PEP(曝露後予防)は、HIVにさらされた可能性のある行為の後に抗HIV薬を服用する予防法です。CDCのガイドラインでは、できるだけ早く、遅くとも72時間以内に開始し、28日間服用するとされています※。
行為から72時間以内でHIVが心配な場合は、かぐやクリニックのオンライン診療でPEPについて相談できます。
4種検査キットでHIV・梅毒・B型肝炎・C型肝炎を自宅で調べられる
かぐやクリニックの4種検査キットでは、HIV・梅毒・B型肝炎・C型肝炎の4つを自宅で調べられます。
キットはご自宅に届き、同梱の器具で指先から採血して、その場で検査します。返送は不要で、約15分で判定ラインを目で見て確認できます。
HIVについては、前述のとおり、感染の機会から検査までの期間が短いと検出されないことがあります。厚生労働省は、きちんと陰性を確認するためには3か月過ぎてからもう一度検査を受けることを勧めています※。
クラミジア・淋病・性器ヘルペスは医療機関で検査を
4種検査キットで調べられるのは、HIV・梅毒・B型肝炎・C型肝炎の4つだけです。クラミジア・淋病・性器ヘルペスはこのキットでは調べられないため、医療機関で検査を受けてください。
性感染症の検査方法は症状により異なり、血液検査のほか、視診や尿検査、おりものを採取した検査などが行われます※。
発熱や、排尿時の痛み、おりものの異常、性器の水ぶくれなどの症状がある場合は、医療機関を受診しましょう。保健所でも、梅毒やクラミジアなどの検査を一緒に受けられるところがあります※。
まとめ
HIVの感染初期、梅毒の第2期、性器ヘルペスの初めての感染、クラミジア・淋菌の合併症では、発熱を伴うことがあります。
ただし、発熱は性病以外の病気でも起こり、性病は熱が出ないことや無症状のことも多いため、症状だけで判断することはできません。熱が下がっても、感染が治ったとは限りません。
熱や性器の症状がある場合は医療機関を受診し、症状がなくても感染の心当たりがあれば、時期を確認して検査を受けましょう。行為から72時間以内でHIVが心配な場合はPEP、一定期間がたってからの検査にはかぐやクリニックの4種検査キットも利用できます。
参考文献
- 性感染症(厚生労働省)
- HIVとエイズ(厚生労働省)
- 急性HIV感染症(国立健康危機管理研究機構 国立国際医療センター エイズ治療・研究開発センター「HIV感染症とその合併症 診療と治療のハンドブック」)
- Symptoms of HIV(米国政府 HIV.gov)
- 梅毒(詳細版)(国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト)
- 梅毒(厚生労働省)
- 感染症法に基づく医師の届出のお願い:性器ヘルペスウイルス感染症(厚生労働省)
- 性器ヘルペスウイルス感染症(詳細版)(国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト)
- JAID/JSC感染症治療ガイドライン2018 ―男性尿道炎とその関連疾患―(日本感染症学会・日本化学療法学会)
- 性器クラミジア感染症(詳細版)(国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト)
- About Pelvic Inflammatory Disease (PID)(米国疾病予防管理センター CDC)
- HIV検査相談マップ/性感染症検査・相談マップ(厚生労働省)
- Getting Tested for HIV(米国疾病予防管理センター CDC)
- Antiretroviral Postexposure Prophylaxis After Sexual, Injection Drug Use, or Other Nonoccupational Exposure to HIV — CDC Recommendations, United States, 2025(米国疾病予防管理センター MMWR Recommendations and Reports Vol.74 No.1)

