性病かもしれないと不安でも、男性はどんな検査を受ければよいのか、どこで受けられるのか分からず迷っていませんか。性病は症状が出ないことも多く、梅毒は2022年以降、国内で年間10,000例を超える報告が続いています。
この記事では、男性が受ける性病検査について、尿・血液・のど・直腸などの検査で調べる病気の違い、医療機関・保健所・自宅でできる検査キットといった検査を受けられる場所、検査を受けるタイミング、症状がなくても検査を受けたほうがよい場合を紹介します。
男性の性病検査はどんな検査?病気によって調べ方が違う

男性の性病検査は、原因となる病原体や感染した部位によって、尿、血液、のどの粘膜など、調べる方法が異なります。性病(性感染症)とは、性器クラミジア感染症や淋菌感染症、梅毒などの、性的接触を介して感染する可能性がある感染症を指し、口や性器などの粘膜や皮膚から感染します。
オーラルセックスやアナルセックスでも感染します。※ そのため、気になる症状や感染の心当たりに応じて、検査を選ぶ必要があります。
1回の検査ですべての性病がわかるわけではない
「どうせなら1回の検査で全部調べてほしい」と思うかもしれませんが、1つの検査ですべての性病がわかるわけではありません。性病は原因となる病原体(細菌、ウイルスなど)の種類がさまざまで、病気ごとに検査の方法が異なるためです。
検査方法は主に血液検査や視診、尿検査などです。※ 日本皮膚科学会は、病気ごとの検査法を次のように説明しています。※
- 淋菌感染症・性器クラミジア感染症: 核酸増幅法
- 梅毒: 病変部の検査や血清反応(血液検査)
- HIV: 抗体スクリーニング検査と確認検査
- 尖圭コンジローマ: 視診(確定診断は組織診断)
このように、クラミジアや淋病と、HIVや梅毒では調べる方法が違います。「全部調べたい」ときは、感染の可能性がある行為や部位に応じて、複数の検査を組み合わせることになります。
性病の検査の種類から受診先、陽性だった場合の対応までの流れは、こちらの記事で解説しています。
>>性病診断の流れと費用|検査の種類・受診先・陽性後の対応を医師が解説
尿検査(初尿)で調べる病気:クラミジア・淋病
尿検査では、主に尿道に感染したクラミジアや淋菌(りんきん)を調べます。尿の出始めに痛む場合は、クラミジア性尿道炎や淋菌性尿道炎などの性感染症が原因であることが多いとされています。※
男性の検査では、出始めの尿である「初尿」を使い、菌の遺伝子を増やして検出する「核酸増幅法」で淋菌とクラミジアを調べます。※ クラミジアと淋菌の診断では、PCR検査(核酸増幅法)が標準的な方法で、両方を同時に調べるPCR検査が一般的に使われています。※
淋菌とクラミジアでは治療に使う抗菌薬の種類が大きく異なるため、泌尿器科の専門医の診察を受けることが勧められています。※ 尿道炎を放置すると、尿が出にくくなる「尿道狭窄(きょうさく)」を起こすことが多いため、症状があれば早めに受診しましょう。※
血液検査で調べる病気:HIV・梅毒・B型肝炎・C型肝炎
血液検査では、HIV(エイズウイルス)や梅毒などを調べます。HIVは抗体スクリーニング検査と確認検査で診断します。※ B型肝炎・C型肝炎も血液で調べる病気で、当院の4種検査キットでは、HIV・梅毒・B型肝炎・C型肝炎の4つを指先から採った血液で調べます。
梅毒は、医師による診察と血液検査(抗体検査)で診断します。2022年以降は年間10,000例を超える報告があり、注意が必要な状況が続いています。※ オーラルセックスやアナルセックスでも感染し、一度治っても再び感染することがあります。※
また、梅毒は症状が消えても、放置していると数年から数十年の間に心臓や血管、脳など複数の臓器に病変が生じることがあります。※ 症状が治まっても、心当たりがあれば検査を受けましょう。
のど・直腸の検査:症状がなくても感染していることがある
クラミジアや淋菌は、尿道だけでなく、のど(咽頭)や直腸にも感染します。尿道炎の患者で、同時にのどから淋菌やクラミジアが検出されることもあります。
のどから淋菌やクラミジアが検出された場合、ほとんどの人はのどの症状がありません。のどや直腸の淋菌感染は多くの場合無症状ですが、のどの痛みや声がれ、肛門の不快感などが出ることもあります。※ のどの検査は、綿棒でこする方法やうがい液を採る方法で行います。※
直腸の検査は綿棒(スワブ)で採取し、本人が採取しても医師が採取しても感度に有意な差はないとされています。※ 男性と性交渉をする男性(MSM)では、症状のない直腸の感染が非常に多く、症状の有無にかかわらず最低年に1回、クラミジアや淋菌などの検査が推奨されています。※
オーラルセックスやアナルセックスの心当たりがある場合は、尿だけでなく、のどや直腸の検査も医師に相談しましょう。
アナルセックスで気をつけたい性感染症や、その予防・検査については、以下の記事をご覧ください。
>>ゲイのアナルセックスで気をつけたい性感染症|HIV感染リスクと予防・検査を医師が解説
皮膚や性器の見た目の変化は診察で確認する
性感染症には、初期症状として気付きやすい皮膚に症状が出る病気が多くあります。※ 皮膚に症状が出る性感染症には、梅毒、性器ヘルペス、尖圭コンジローマなどがあります。※
尖圭コンジローマは、医師が目で見て判断する「視診」で診断し、確定診断にはできものの一部を採取して調べる「組織診断」を行います。※ 性器やそのまわりにできものなどの変化があれば、自己判断せず医師の診察を受けましょう。
男性の性病検査はどこで受けられる?
男性が性病検査を受ける場所は、症状の有無や目的に合わせて「医療機関」「保健所」「自宅でできる検査キット」から選べます。症状があるなら医療機関、無料・匿名で受けたいなら保健所、自宅で血液の検査をしたいなら検査キットが選択肢です。
症状があるなら泌尿器科などの医療機関
排尿時の痛みや尿道口から膿が出る、性器にできものができているなど、何らかの症状がある場合は、泌尿器科などの医療機関を受診してください。症状がある場合は、病院やクリニックへの受診がすすめられています。※
医療機関では、医師の診察のうえで検査を受け、診断がつけば治療を受けられます。性感染症の多くは治療できますが、早期の段階で治療しなければ、合併症や後遺障害が残る可能性があるものもあります。※
医療機関では、症状や心当たりに応じて、次のような検査を行います。
- 血液検査
- 尿検査
- 視診(医師が目で見て確認する)
- のどや直腸を綿棒でこする検査、うがい液の検査
どの検査が必要かは医師が判断するため、心当たりのある行為や部位を伝えて相談しましょう。
保健所では無料・匿名でHIVなどの検査を受けられる
症状はないものの感染の心当たりがある場合は、保健所の検査を利用する方法があります。HIV検査は全国の保健所や自治体の特設検査施設で、無料・匿名(名前は必要なし)で受けられます。住んでいる場所以外の保健所でも検査を受けられます。※
ただし、いくつか知っておくべき点があります。
保健所によっては、夜間・休日検査を設けているところもあります。※
自宅でできる検査キット
「病院に行く時間がない」「誰にも会わずに調べたい」という方には、自宅でできる検査キットという選択肢もあります。
当院の4種検査キットでは、HIV・梅毒・B型肝炎・C型肝炎の4つを調べられます。自宅に届いたキットの同梱の器具で指先から採血し、その場で検査します。返送は不要で、約15分で判定ラインを目で見て確認できます。
ただし、このキットで調べられるのは上の4つだけです。クラミジアや淋病は調べられないため、これらが心配な場合は泌尿器科などの医療機関で検査を受けてください。キットの詳しい内容は、後半の「かぐやクリニックの4種検査キットでできること」で紹介します。
性病検査を受けるタイミング

性病検査を受けるタイミングは、症状の有無や調べる病気によって変わります。
症状があるならすぐに医療機関を受診しましょう。一方、HIVのように感染の機会から時間がたたないと検査で検出できない病気もあるため、検査を受ける時期にも注意が必要です。
排尿時の痛みや膿など症状が出たら早めに受診する
次のような症状に気づいたら、早めに泌尿器科などの医療機関を受診してください。
尿道口から膿が出るのは、主に性行為で尿道口から侵入した病原菌が尿道炎を起こしているのが原因です。※ 尿道炎は放置すると尿道狭窄となることが多いため、早めに専門医を受診したほうがよいとされています。※
クラミジアの膿の見た目や淋菌との違いを知りたい方は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
>>クラミジアの膿・おりものはどんな見た目?症状・淋菌との違い・検査を医師が解説
保健所でも検査は受けられますが、症状がある場合は病院やクリニックへの受診がすすめられています。※
HIV検査は感染の機会から約1か月、確認は3か月後
HIV検査は、感染の心配がある行為の直後に受けても、正しい結果が出ないことがあります。感染してから検査で検出できるようになるまでに「ウィンドウ期間」と呼ばれる期間があるためです。
厚生労働省のHIV検査相談マップでは、抗体検査では約1か月あれば抗体が検出されてくるため、その時点で検査しても意味がないことはないとしています。そのうえで、きちんと陰性を確認するためには、3か月過ぎてからもう一度HIV検査を受けることをすすめています。※
米国疾病予防管理センター(CDC)は、検査の種類ごとに、感染の機会から検出できるようになるまでの期間を次のように示しています。※
| 検査の種類 | 検出できるようになるまでの期間 |
|---|---|
| NAT(核酸増幅検査) | ・感染の機会から10〜33日 |
| 静脈から採った血液の抗原・抗体検査 | ・感染の機会から18〜45日 |
| 指先の血液を使う迅速な抗原・抗体検査 | ・感染の機会から18〜90日 |
| 抗体検査 | ・感染の機会から23〜90日 |
検査キットを使う場合は、キットの案内や医師の指示で、検査を受ける時期を確認してください。
陰性でも検査の時期が早すぎた場合は再検査する
検査結果が陰性でも、感染の機会から検査までの期間が短すぎると、感染していても検出されない可能性があります。
CDCは、HIVに感染した可能性のある行為の後に検査を受けて陰性だった場合、受けた検査のウィンドウ期間が過ぎてから、もう一度検査を受けるよう勧めています。※ 抗体検査を感染の機会から約1か月で受けた場合も、3か月過ぎてからもう一度検査を受けましょう。※
症状がなくても検査を受けたほうがよい場合
性病は症状がないことも多く、気づかないうちにパートナーにうつしてしまうことがあります。次のような場合は、症状がなくても検査を検討しましょう。
性病は症状が出ないことも多い
性感染症は、感染症の種類によっては無症状のことも多く、治療をしなかった場合、不妊の原因となったり、神経や心臓などに深刻な合併症や後遺障害を残したりすることもあります。※
特に、のどの淋菌感染はほとんど症状がありませんが、感染源として重要とされています。※ 症状がないから大丈夫と自己判断すると、気づかないうちにパートナーへ感染を広げてしまう可能性があります。
性感染症は、口や性器などの粘膜や皮膚から感染し、オーラルセックスやアナルセックスでも感染します。※ 症状の有無にかかわらず、心当たりのある行為があった場合は検査を受けましょう。
男性と性交渉をする男性は少なくとも年1回の検査が勧められている
男性と性交渉をする男性(MSM)は、症状がなくても、少なくとも年に1回は性病の検査を受けることが勧められています。
MSMでは症状のない直腸の感染が非常に多く、症状の有無にかかわらず最低年に1回、クラミジア・淋菌などの検査が推奨されています。※ 米国疾病予防管理センター(CDC)は、コンドームの使用の有無にかかわらず、性的に活動的なMSMに次の検査を勧めています。※
| 検査対象の病気 | 検査する部位・頻度 |
|---|---|
| クラミジア | ・接触した部位(尿道・直腸)を少なくとも年1回 |
| 淋菌 | ・接触した部位(尿道・直腸・のど)を少なくとも年1回 |
| 梅毒 | ・少なくとも年1回 |
| HIV | ・感染状況が分からないか陰性で、前回の検査以降に本人またはパートナーに複数の相手がいた場合、少なくとも年1回 |
感染のリスクが高い場合は、3〜6か月ごとの検査が勧められています。※
状況ごとに性病検査を受ける頻度の目安は、次の記事にまとめています。
>>性病検査の頻度はどのくらい?定期的に受ける目安を状況別に解説
パートナーが性病と診断されたとき
パートナーが性病と診断された場合は、ご自身に症状がなくても検査を受けてください。自分だけが治っても、治療を受けていないパートナーから再びうつる「ピンポン感染」が起こることがあります。ピンポン感染を防ぐために、セックスパートナーも一緒に検査と治療を受ける必要があります。※
受診の際は、パートナーが診断された病名を医師に伝えましょう。
かぐやクリニックの4種検査キットでできること

当院(かぐやクリニック)はオンライン診療のクリニックで、自宅で血液の検査ができる4種検査キットを扱っています。調べられる病気と、キットでは調べられない病気を確認しておきましょう。
HIV・梅毒・B型肝炎・C型肝炎の4つを自宅で調べられる
当院の4種検査キットで調べられるのは、HIV・梅毒・B型肝炎・C型肝炎の4つです。
性感染症は種類によっては無症状のことも多く※、梅毒は症状が消えても放置していると、数年から数十年の間に心臓や血管、脳などに病変が生じることがあります。※ 症状はないけれど心当たりがある方が、自宅でこの4つを調べる方法として使えます。
指先から採血してその場で検査、返送は不要
この検査キットは、自宅に届いたキットの同梱の器具で指先から採血し、その場で検査します。血液を送り返す必要はありません。
検査は次の流れで進めます。
- 検査キットが自宅に届きます。
- 同梱の器具で指先から採血します。
- その場で検査し、約15分待ちます。
- 判定ラインを目で見て結果を確認します。
誰にも会わずに、自宅で検査を済ませたい方に向いた方法です。
クラミジア・淋病は泌尿器科など医療機関で検査を
当院の4種検査キットで調べられるのは、HIV・梅毒・B型肝炎・C型肝炎の4つだけです。クラミジアや淋病は、このキットでは調べられません。クラミジアや淋病は、尿やのど・直腸から採った検体で調べる病気で、血液を使うキットとは検査の方法が異なります。※
排尿時の痛みや尿道口から膿が出るなどの症状がある場合や、クラミジア・淋病が心配な場合は、泌尿器科などの医療機関で検査を受けてください。
また、HIVの感染を予防する薬(PrEP)を始めるときには、すべての希望者に淋菌やクラミジア、梅毒といった性感染症の検査を行うことが推奨されています。※
行為直後の不安はPEP、繰り返すならPrEP
HIVの感染予防には、「心配な行為の直後」に使うPEP(ペップ)と、「行為の前から」使うPrEP(プレップ)があります。
PEP(ペップ):曝露後予防
HIVに感染したかもしれない行為の後、できるだけ早く、遅くとも72時間以内に予防薬を飲み始める方法です。服用期間は28日間です。※ 心配な行為から72時間以内に受診した人は、PEPの必要性について評価を受けます。※
PrEP(プレップ):曝露前予防
HIVに感染するリスクのある行為を繰り返す方が、あらかじめ予防薬を服用する方法です。過去3か月間と今後3か月間のHIV感染リスクを評価して、PrEPが適しているかを判断します。服用している間は、少なくとも3か月ごとにHIV感染の評価を受けます。※
PEPやPrEPは、医師の診察のもとで行います。気になる方は医師に相談してください。
まとめ
男性の性病検査は、調べる病気によって検査方法や受ける場所、タイミングが異なります。クラミジアや淋病は尿やのど・直腸の検査、HIVや梅毒は血液の検査で調べます。
性病は症状が出ないことも多く、気づかないうちにパートナーへ感染を広げてしまうことがあります。HIVのように、感染の機会から時間がたってから検査を受ける必要がある病気もあります。
排尿時の痛みなどの症状がある場合は泌尿器科などの医療機関へ、症状はないけれど心当たりがある場合は保健所の検査や当院の4種検査キット(HIV・梅毒・B型肝炎・C型肝炎)も選択肢です。
参考文献
- 性感染症(厚生労働省)
- JAID/JSC感染症治療ガイドライン2018 ―男性尿道炎とその関連疾患―(日本感染症学会・日本化学療法学会)
- クラミジア、淋菌、マイコプラズマ・ジェニタリウム(国立健康危機管理研究機構 国立国際医療センター エイズ治療・研究開発センター「HIV感染症とその合併症 診療と治療のハンドブック」)
- 尿道口から膿が出る(日本泌尿器科学会「こんな症状があったら」)
- 排尿痛がある、排尿時に痛い(日本泌尿器科学会「こんな症状があったら」)
- 皮膚科Q&A 性感染症(Sexually transmitted infections, STI)(日本皮膚科学会)
- 梅毒(厚生労働省)
- HIV検査相談マップ/性感染症検査・相談マップ(厚生労働省)
- STI Screening Recommendations(米国疾病予防管理センター CDC「Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines」)
- Getting Tested for HIV(米国疾病予防管理センター CDC)
- Antiretroviral Postexposure Prophylaxis After Sexual, Injection Drug Use, or Other Nonoccupational Exposure to HIV — CDC Recommendations, United States, 2025(米国疾病予防管理センター MMWR Recommendations and Reports Vol.74 No.1)
- 日本におけるHIV感染予防のための曝露前予防(PrEP)利用の手引き 第2版(日本エイズ学会)

