オーラルセックスで梅毒はうつる?感染確率についてわかっていることと検査を受ける時期

オーラルセックスで梅毒はうつる?感染確率についてわかっていることと検査を受ける時期

オーラルセックスのあとで、梅毒がうつったのではないかと不安になっていませんか。性器の挿入はしていないから大丈夫なのか、どのくらいの可能性があるのか、気になる方も多いと思います。

✓ この記事でわかること

この記事では、オーラルセックスで梅毒がうつるしくみと、感染確率について公的機関の資料や研究で確認できること・できないことを整理します。あわせて、口やのどに出る症状の特徴、コンドームなどでの予防の限界、不安な行為のあとの検査の受け方も紹介します。

目次

オーラルセックスで梅毒はうつる?感染のしくみ

オーラルセックスでも梅毒は感染します。 厚生労働省は、梅毒はオーラルセックス(口腔性交)やアナルセックス(肛門性交)などでも感染するとしています。※

梅毒の報告数は2021年以降大きく増加し、2022年以降は年間10,000例を超える報告が続いています。※ ここでは、オーラルセックスで梅毒がどのように感染するのか、そのしくみを解説します。

梅毒は病変に粘膜や皮膚が直接触れることで感染する

梅毒は、主に粘膜や皮膚が梅毒の病変部位と直接接触することで感染します。具体的には、性器と性器、性器と肛門、性器と口の接触(オーラルセックス)等です。※ 治療されていない硬性下疳(こうせいげかん)などの病変の表面には、原因菌である梅毒トレポネーマが多く存在します。※

感染後数週間で菌が侵入した部位(主に口の中、肛門、性器等)にできるしこりや潰瘍は、痛みを伴わないことが多く、治療をしなくても自然に軽快します。※ しかし、これは治ったサインではありません。 症状が軽快しても、ひそかに病気が進行する場合があります。

感染しても無症状の場合もあり、自分の知らない間に他の人に感染させてしまうことがあります。※

性器から口へ、口から性器への二通りの感染がある

オーラルセックスでは、口(くちびる、口内の粘膜、のど)から性器へ、性器から口へ、の二通りの感染がありえます。※

  • 性器から口への感染 相手の性器やその周りに梅毒の病変がある場合、オーラルセックスによって自分の唇や口の中、のどに感染することがあります。
  • 口から性器への感染 自分の唇や口の中に梅毒の病変がある場合、オーラルセックスによって相手の性器に感染させることがあります。

梅毒の第2期(病変が全身に広がる時期)に口内に病変がある割合は30%程度とする報告があります。※ くちびるや口内の粘膜、のどに感染すると、ただれ・潰瘍ができることがありますが、無症状も多いと考えられています。※

性器の挿入がなくても感染する(キスで感染する可能性も)

梅毒は、性器の挿入がなくても感染します。 感染の基本は、粘膜や皮膚が梅毒の病変部位と直接接触することだからです。※ 厚生労働省のQ&Aでは、梅毒でくちびる周辺に発疹がある場合は、キスで感染する可能性があるとしています。※

皮膚や粘膜に異常を認めた場合は、性的な接触を控え、早めに医療機関を受診して相談しましょう。※

症状に応じた診療科の選び方や、保健所など検査できる場所は、こちらの記事で解説しています。
>>性病は何科?泌尿器科・婦人科・皮膚科・性病科の病院の選び方と保健所など検査できる場所

オーラルセックスでの梅毒の感染確率は?わかっていること

オーラルセックス1回あたりの梅毒の感染確率は、公的機関の資料では数値が示されていません。研究をまとめた総説でも、1回の性行為あたりの梅毒の感染リスクのデータは非常に限られているとされています。※

ここでは、確認できる資料と研究の数字を、その意味とあわせて整理します。

1回あたりの感染確率は公的な資料では示されていない

厚生労働省や国の感染症情報サイトの資料では、オーラルセックスでも梅毒に感染することは示されていますが、1回あたりの感染確率の数値は示されていません。※

研究をまとめた総説によると、HIVと違って梅毒の1回の性行為あたりの感染リスクのデータは非常に限られ、相手1人あたりの感染率の推定と、年間の性行為の回数をもとにした不完全な推定にとどまっています。※

数値が示されていないことは、感染しないという意味ではありません。オーラルセックスでも感染することは、公的機関の資料に明記されています。※

研究で報告されている数字と、その読み方

研究で報告されている数字には、次のようなものがあります。いずれも「オーラルセックスを1回したときに感染する確率」を実際に測ったものではありません。

研究報告の種類内容数字の読み方
感染の原因の調査米国シカゴ市で2000〜2002年に1期・2期梅毒と診断された人のうち、13.7%はオーラルセックスが感染の原因とされた※・「オーラルセックスをすると13.7%の確率で感染する」という意味ではない
・感染した人の感染の原因を調べた結果の割合
数理モデルでの仮定感染の広がりを計算するモデルの中で、1期・2期梅毒での陰茎と口の性行為1回あたりの感染確率を1.0%と「仮定」した研究がある※・実際に測った値ではなく、計算のために置いた設定値
パートナー間の感染率パートナー間の梅毒の感染は、9〜64%と推定されている※・相手1人あたりの推定で、オーラルセックスに限った数字ではない
・研究によって幅が大きい

このように、オーラルセックス1回あたりの感染確率を確かめた数字はありません。

病変がある時期は感染しやすく、無症状の人からも感染する

梅毒の性的な感染は、皮膚や粘膜に梅毒の病変があるときに起こると考えられています。※ 早期顕症梅毒の1期・2期は、最も感染性が高い時期です。※

未治療の硬性下疳と粘膜斑(ねんまくはん)の表面には梅毒トレポネーマが多く存在し、接触した他者への感染率が極めて高いとされています。※ 一方で、梅毒は「感染しているのに無症状だったり、症状が軽くて病気であることを自覚していない人」から感染します。※

口の中の梅毒は無症状のことが多く、口内炎やヘルペスと間違われて治療が遅れることがあるとも報告されています。※ つまり、相手の性器や口に目に見える異常がないことだけでは、感染していないとはいえません。

自覚症状が出にくい性病の種類と、検査を受けるタイミングについては、以下の記事をご覧ください。
>>性病は自覚症状なしでも感染している?症状が出にくい性病と検査を受けるタイミング

口やのどに出る梅毒の症状の特徴

口やのどに出る梅毒の症状の特徴

オーラルセックスで感染した場合、菌が侵入した唇や口の中、のどに症状が出ることがあります。痛みがないことが多く、無症状のことも多いため、気づきにくいのが特徴です。※

唇・舌・扁桃に出やすく、痛みがないことが多い

梅毒の第1期の病変ができやすい場所は性器ですが、次いで口腔・咽頭、なかでも口唇・舌・口蓋扁桃(こうがいへんとう)に生じやすいとされています。※

第1期に菌が侵入した部位にできる病変は以下のとおりです。

病変特徴
初期硬結(しょきこうけつ)触ると軟骨のようにコリコリと硬いしこり
硬性下疳(こうせいげかん)初期硬結が数日後に中心部から潰瘍化したもの

初期硬結も硬性下疳も、痛みがないか、違和感のみの場合が多いとされています。※ 口やのどの梅毒34例を経験した医療機関の報告では、30例がのどの痛み・口の中の痛み・のどの違和感を主な訴えとして、内科または耳鼻咽喉科を受診していました。※

性器などを含めた梅毒の初期症状の見た目や出る場所は、「梅毒の初期症状」の記事で詳しく解説しています。

症状が自然に消えても治ったわけではない

第1期と第2期の病変は、治療をしなくても数週間〜数カ月で消えます。※ しかし、治療をしなくても症状が自然に軽快するだけで、ひそかに病気が進行する場合があります。※

また、未治療の病変の表面には原因菌が多く存在し、接触した他者への感染率が極めて高いとされています。※ 梅毒が疑われる症状が自然に消えたとしても、医療機関を受診する必要があります。※

コンドームなどでの予防とその限界

コンドームを適切に使用することで梅毒の感染リスクを下げられますが、コンドームが覆わない部分から感染する可能性もあるため、完全には予防できません。※ 梅毒は、膣・肛門・オーラルセックスの際に梅毒の病変に直接触れることで感染します。※

そのため、病変との直接の接触を防ぐことが予防の基本ですが、その限界も知っておく必要があります。

オーラルセックスでもコンドームなどで直接の接触を減らせる

オーラルセックスの際も、口と性器の直接接触を避けることで感染リスクを減らすことができます。※ 病変の存在に気づかない場合もあることから、性交渉の際はコンドームを適切に使用することが勧められています。※

厚生労働省のQ&Aが挙げる方法は以下のとおりです。

対象方法
男性器への行為
(フェラチオ)
コンドームを使用する
女性器への行為
(クンニリングス)
ラップなどを用いて口と性器の直接接触を避ける※

一方で、尿道炎の患者を対象にした調査では、性交渉の際に9割以上の人でオーラルセックスが行われており、その際にコンドームを使用するのは1%もいないという結果でした。※

フェラチオでのクラミジアの感染確率や症状、検査のタイミングについては、こちらの記事で紹介しています。
>>フェラチオでクラミジアはうつる?感染確率・症状・検査のタイミングを医師が解説

コンドームで覆われない部分からは感染しうる

コンドームは病変との接触を防ぎますが、コンドームで覆われない場所に病変ができることがあり、その病変に触れると感染しうるとされています。※ ラテックス製コンドームは、一貫して正しく使えば梅毒の感染を防ぐ効果がありますが、潰瘍などの病変を完全に覆う必要があります。※

また、梅毒でくちびる周辺に発疹がある場合は、キスで感染する可能性があります。※ コンドームで100%予防できると過信はしないようにしましょう。※

不安な行為のあと、いつ検査を受けるか

不安な行為のあと、いつ検査を受けるか

梅毒は、医師による診察と血液検査(抗体検査)により診断されます。※ ただし、感染から間もない時期は抗体検査で陰性になることがあります。検査を受ける時期と、陰性だった場合の考え方を知っておきましょう。

感染から1か月以内は抗体検査が陰性のことがある

厚生労働省の研究班の資料では、感染から1か月以内の初期梅毒では、抗体検査が陰性の場合もあるとされています。※ また、症状が現れても、血液検査が陽性になるまで1週間程度の期間があるとされています。※

同じ資料では、梅毒の人のパートナーについて、抗体検査が陰性でも、最終の感染時期から3か月後に陽性になっていないことを確認するまでは感染が否定できないとしています。※

日本性感染症学会の診療ガイドでも、梅毒が疑われる病変では見逃しを防ぐため、できれば1か月後にも検査することを勧めています。※ 検査を受けるときは、感染の可能性がある時期や感染の予防状況(コンドーム使用等)を医師に伝えましょう。※

保健所・医療機関での検査と、症状があるときの受診先

梅毒の検査は、保健所や医療機関で受けることができます。※

検査場所特徴
保健所・地域によっては匿名・無料で検査ができる※
・検査項目は保健所によって異なり、一部有料の場合や予約が必要な場合がある※
医療機関
(クリニック・病院)
・症状がある場合や、パートナーの感染が明らかな場合は受診が勧められている※

口やのど、性器などに気になる症状がある場合の相談先は、厚生労働省のQ&Aで以下のように示されています。※

  • のどの感染が心配な場合:耳鼻咽喉科、あるいは性感染症を専門とする医療機関(事前に性感染症の診療が可能か電話等で確認)
  • 性器の感染が心配、または性器周辺の症状がある場合:泌尿器科や産婦人科
  • くちびるや皮膚の症状がある場合:皮膚科

自宅で検査する選択肢:かぐやクリニックの4種検査キット

医療機関や保健所での検査のほかに、自宅で検査する方法もあります。選択肢の一つとして、かぐやクリニックの4種検査キットを紹介します。

キットはご自宅に届き、同梱の器具で指先から採血して、その場で検査します。返送は不要で、約15分で判定ラインを目で見て確認できます。調べられるのは、梅毒・HIV・B型肝炎・C型肝炎の4つです。

⚠️ 重要

陽性や判定保留の結果が出た場合は、それだけでは結果は確定しません。医療機関で確認検査を受けてください。※

HIVも心配なら72時間以内にPEPを検討する

オーラルセックスを含む行為でHIVの感染も心配な場合、行為から72時間以内であれば、HIVの曝露後予防内服「PEP(ペップ)」を検討できます。米国CDCのガイドラインでは、PEPは曝露後できるだけ早く、遅くとも72時間以内に開始し、服用期間は28日間とされています。※

心当たりがある場合は、早めにPEPに対応している医療機関へ相談してください。また、HIV検査には検査の種類ごとにウィンドウ期間(感染してから検査で検出できるようになるまでの期間)があり、期間内の検査で陰性だった場合は、期間が過ぎてから再検査するよう勧められています。※

PEPを服用した場合は、曝露から4〜6週後と12週後にHIV検査を受けることが推奨されています。※

まとめ

オーラルセックスでも梅毒は感染します。粘膜や皮膚が病変に直接触れることで感染するため、性器の挿入がなくてもうつることがあり、くちびる周辺に発疹がある場合はキスでも感染する可能性があります。

オーラルセックス1回あたりの感染確率は、公的機関の資料では示されていません。口やのどの症状は痛みがないことが多く、自然に消えても治ったわけではありません。

コンドームなどで直接の接触を減らせますが、覆われない部分からは感染しうるため、100%は防げません。感染から1か月以内は抗体検査が陰性のことがあるため、検査の時期は医療機関や保健所に相談しましょう。

参考文献

  1. オーラルセックスによる性感染症に関するQ&A(厚生労働省)
  2. 梅毒に関するQ&A(厚生労働省)
  3. 梅毒(厚生労働省)
  4. 梅毒(詳細版)(国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト)
  5. 口腔・咽頭梅毒の臨床像と診断のピットフォール(国立健康危機管理研究機構 病原微生物検出情報 IASR Vol.44 2023年12月号)
  6. 梅毒診療の考え方(令和6年3月、厚生労働行政推進調査事業費補助金「梅毒患者の実態把握及び対策に資する研究」山岸由佳班、日本感染症学会掲載)
  7. 梅毒診療ガイド(第2版)(日本性感染症学会)
  8. Transmission of Primary and Secondary Syphilis by Oral Sex — Chicago, Illinois, 1998–2002(米国疾病予防管理センター MMWR 2004;53(41):966-968)
  9. Syphilis transmission: a review of the current evidence(Stoltey JE, Cohen SE. Sexual Health 2015;12(2):103-109, PMC5973824)
  10. About Syphilis(米国疾病予防管理センター CDC)
  11. Syphilis – STI Treatment Guidelines(米国疾病予防管理センター CDC「Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021」)
  12. Antiretroviral Postexposure Prophylaxis After Sexual, Injection Drug Use, or Other Nonoccupational Exposure to HIV – CDC Recommendations, United States, 2025(米国疾病予防管理センター MMWR Recommendations and Reports Vol.74 No.1)
  13. Getting Tested for HIV(米国疾病予防管理センター CDC)
  14. 性感染症(厚生労働省)
  15. HIV検査相談マップ/性感染症検査・相談マップ(厚生労働省)
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この記事を書いた人

福岡大学医学部卒業。日本救急医学会救急科専門医、日本集中治療医学会集中治療専門医、臨床研修指導医。救急・集中治療領域での豊富な診療経験を持ち、現在はクリニック院長として外来診療にも従事。HIV・性感染症をはじめとした医療情報分野の監修も行っている。

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